イングランドで重症アレルギーが急増―新研究

農業情報研究所

03.11.18

 BBC News(*)によると、ロンドンの聖ジョージ病院医療スクールの研究チームが、アレルギーでイングランドの病院に収容される人の数が急増していることを明らかにした。ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表された研究によると、アレルギーで病院に収容された人の数は、1990年には1,960人だったが2001年には6,752人となり、11年間で3倍以上に増えた。

 この11年間に重症アレルギーで病院に収容された人の総数は4万9,000人になる。そのうち、39%は激しい痒みを伴う蕁麻疹性丘疹、26%が急性の生命にもかかわるアナフィラキシ(過敏症、唇や顔面の危険な膨張を引き起こし、呼吸困難につながり得る)、18%が食品アレルギー、17%が皮膚深部や眼・唇、時には手足を膨らませる血管浮腫による収容であった。最も増加が激しかったのはアナフィラキシと食品アレルギーで、11年間に5倍に増えた。その他は2倍ほどに増えた。

 研究チームは、この急増は国民のアレルギーに関する知識が増えたとか、治療方法が変わったとかが原因ではなく、実際のアレルギーになる人の数が増えた結果であると見ている。この増加は、ピーナツ、その他の食品、あるいはらラテックス製品(ゴム製手袋・カテーテル・絆創膏など医療用具、炊事用のゴム手袋・ゴム風船・ゴムボール・コンドームなど)などの環境リスク要因への暴露の増加、これらアレルギー源やその複合要因に対する人々の感受性の増加によって起きている可能性があると書いている。

 ただ、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの免疫薬理学教授のジョン・フォアマンは、アレルギーが増加している理由は誰にも分からない、過去10年間から20年の間にアレルギー性喘息(ぜんそく)が増加しているという確証はあるが、これを説明するための彼が知る唯一の理論はmuck(泥)理論と呼ばれるもので、子供が土壌生物に触れなくなったことがアレルギーに罹りやすくしているというものだと語っているという。

 (*)Severe allergies 'rising sharply',BBC News,11.14

 農業情報研究所

グローバリゼーション 食品安全 遺伝子組み換え 狂牛病 農業・農村・食料 環境