タイ:EPN,エンドスルファン、メチルパラチオン全面禁止の要請

農業情報研究所

04.5.19

 バンコク・ポスト紙によると、保健当局と学界が三つの殺虫剤、EPN、エンドスルファン(ベンゾエピン)、メチルパラチオン(ホリドールメチル)の全面禁止を要求している(Ban urged on deadly farm chemicals,Bangkok Post,5.19)。これらは農民の人気が高く、米、大豆などの栽培に大量に使われており、02年の農業省の統計によると、メチルパラチオン1,132トン、エンドスルファン1,012トン、EPN8.5トンが輸入されている。だが、研究チームは、これらの薬剤に長期にわたり曝されると、慢性病、肺癌、新生児の奇形につながる遺伝子変異を引き起こす恐れがあると言う。また環境も害する。実験では、これら三つに汚染された水では魚や海洋小生物は生き残れなかった。

 だが、有毒化学物質監督小委員会の委員長は、有害性がもっと少ない代替物質がないために、禁止は不可能だと言っている。また、保健省が人間の健康への悪影響に直接結び付いた事例が発見された場合にのみ禁止されようと言う。

 医療科学当局者は、科学企業の政策関係者への影響力からして、禁止は執行されないだろうと疑問を呈し、農家での有害化学物質の過剰使用の問題に挑戦するには、保健省と農業省の協力が不可欠と言う。

 同紙によると、EU、米国、インドネシア、スリランカ、フィリピンは、WHOが高度に有毒な物質に分類するこの三つの薬剤を既に禁止したという(日本でもメチルパラチオンは登録失効となっている)。

農業情報研究所

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