英国FSA 子供の多動性との関連が疑われる食品添加物の自主的排除を勧告へ 

農業情報研究所(WAPIC)

08.4.11

 英国食品基準庁(FSA)委員会(Board)*が4月10日の会合で、一定の食品添加物(人工着色料)の子供の多動性障害(ADHD)との関係を論議、英国製造業者がこれら着色料を2009年までに排除する自主的行動を取るべきべきであり、またEUも期限を定めて食品と飲料から段階的に排除する行動を取るべきだとする政府に対する勧告に合意した。

 http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2008/apr/coloursadvice

 *特定部門でなく、公益を代表する広範な技能や専門知識を備えた委員から成り、FSAが取るべき行動を議論し、決定する。

 この論議は昨年9月に発表されたサザンプトン大学の研究(一定食品着色料混合物が子供の多動性障害に関連の可能性 回避は消費者の責任 英国FSA,07.9.6)と、今年3月に発表された欧州食品安全機関(EFSA)のこの研究に関する意見**を受けて行われたものである。

 **サザンプトン大学の研究は、因果関係、あるいは個別の添加物または他の添加物との混合物のあり得る影響の証拠を提供するかもしれない観察された事実の”生物学的メカニズム”は何も示唆しておらず、なお研究が必要、現段階では既存の一日摂取許容量を変えるには及ばないとしていた。
 http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/board/fsa080404a1.pdf

 英国の産業は既にこれら着色料の廃止に向かって大きく進んでおり、今回の決定はこの動きがさらに続くように促すものだという。また、多動性の症候を示す子供の両親に対しては、食べ物から摂取する一定の人工着色料***を減らすのがよいと既に勧告しているが、委員会は、両親に対する勧告はできるだけ簡略化し、強め、また委員会での議論に照らして更新するように要求した。

 *** Sunset yellow (E110)、Quinoline yellow (E104) 、Carmoisine (E122) 、Allura red (E129) Tartrazine (E102) 、Ponceau 4R (E124)

 なお、サザンプトン大学の研究で使われた着色料に混合される安息香酸ナトリウムの使用は主に飲料に限られており、保存が主な働きであることからも、政府と消費者に対する勧告は着色料に焦点を当てるものになったという。

 関連ニュース
 Europe-wide food colour ban call ,BBC News,4.10
 http://news.bbc.co.uk/2/low/health/7340426.stm