農業情報研究所食品安全ニュース:2013年4月30日

一難去ってまた一難 米国産トウモロコシのアフラトキシン汚染の脅威は今秋まで続く

  一難去ってまた一難、2012年産米国トウモロコシは夏の猛暑と干ばつでアフラトキシン(発癌性の高いカビ毒)の猛攻を受けたが、トウモロコシのアフラトキシン汚染問題は今夏から秋にかけてさらに悪化する恐れがあるという。

 2012年、アフラトキシンは、いつもの南部(テキサスなど)から北上、大産地である中西部も襲う1980年代以来の大発生となった。しかし、アフラトキシン汚染は12年産トウモロコシだけでなく、今年産トウモロコシにも及びそうだ。中西部農民は貯蔵施設に保管されているトウモロコシを今年産トウモロコシに混ぜて汚染を薄めようとするからだ。

 専門家によれば、アフラトキシンを作りだすカビは、春の気温上昇とともに貯蔵庫内に広がる。それはすでに繁殖を始めている。トウモロコシは供給不足だから、貯蔵庫は空っぽになるだろう。その底に汚染トウモロコシが集中する。これは新穀を混ぜて徐々に薄めるほかないだろうという。

 植物油やスウィートナーの生産者からペットフード・家畜飼料メーカー、さらには副産物である蒸留かす(DDG)を飼料とし販売するエタノールメーカーまでが、収穫後1年経ってもこの問題に頭を悩ますことになる。

 現在、汚染トウモロコシの大部分は、大家畜(豚、肉用牛)の飼料に混ぜられている。食品医薬局(FDA)の指針では、一定タイプの飼料には30ppbまでの汚染が許される。人の食品や輸出品は20ppb以下、牛乳では0.5ppb以下でなけれならない。汚染トウモロコシを食べた乳牛はアフラトキシン汚染牛乳を出す。

 FDAは昨秋、アイオワ、イリノイ、インディアナ ネブラスカなど一部コーンベルト州につき、穀物取扱い業者が汚染トウモロコシを清浄トウモロコシと混ぜることを一時的の許した。一部の州では、これが今夏まで延長される。トウモロコシ取扱い業者は検査を強化してきたとはいえ、汚染レベルはサンプルごとに大きく異なるから、適正なサンプリングは難しいだろうという。

 Grain handlers wary of toxin lingering in '12 U.S. corn harvest,Reuter,4.19

 米国産トウモロコシの最大の輸入国である日本も、検査体制の強化が不可欠だろう。検査のためのサンプリングの難しさからして、高濃度汚染トウモロコシが輸出=輸入される可能性は決して排除できない。今後ますます頻発するようになるだろう米国の猛暑と干ばつは、日本の食品・飼料(とりわけ乳牛飼料)安全も脅かす。