日本−シンガポール新時代経済連携協定:農産物抜きの協定に中国・ニュージーが反発

農業情報研究所
(WAPIC)

2002.1.17

 1月13日、日本とシンガポールは自由貿易協定(FTA)を含む「新時代経済連携協定」に調印したが、17日付けのストレーツ・タイムズ紙が伝えるところによると、中国のGuangming Daily(光明日報)は、日本が農業部門を開放しない故に経済協力は誠意を欠くと協定への懐疑論を表明している。16日付けの光明日報のコメントによれば、自由貿易協定は日本の農業部門に影響を与えないから「不公正で偏りがある」。シンガポールは日本製品に対するすべての関税を撤廃したが、日本はシンガポールの輸出品の94%について関税を廃止したにすぎない。他の大部分のアセアン諸国では農業が重要な地位を占めるから、同様な協定を日本を結ぶのは不可能であろう。

 共同通信によれば、昨年、シンガポールとの経済連携緊密化協定に調印したニュージーランドも、日本−シンガポール自由貿易協定の包括性に関して警告を発した。ニュージーランド貿易相・ジム・サットンによれば、「自由貿易協定には農業のような最もセンシティブな部門を含むすべての部門が含まれねばならないというのが我々の見解」であり、「政治的にセンシティブな部門を貿易協定から除外することは、将来の協定締結を困難にする」。

 China daily slams Japan-S'pore pact,The Strait Times,02.1.17

 WTOが発足して以来、新たな自由貿易協定の審査は滞っているが、この審査制度が動き出せば農産物除外が最大の争点になることは間違いないであろう。多分、審査の結果が出る前に発効させ、既成事実化させてしまうのであろうが。 
 参照:北林寿信「地域貿易協定と農産物貿易(解説)」国際農林業協力 24−3(2001.6)

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