農業情報研究所グローバリゼーション農水産物・食料品貿易>ニュース:2020年9月11日(追記:9月12日)

 

日英通商協定大筋合意 英国産チーズの関税輸入割当問題はどうなった?

 

日英通商協定(EPA.、経済連携協定)が大筋合意に達したそうある。

 

 日英EPAで大筋合意 自動車・鉄道部品の関税即時撤廃 日本経済新聞 20.9.11

 

 ただ、日本が対EUEPAの低関税輸入枠の未利用分の適用を提案、英国が輸入枠のさらなる拡大を求めて最後まで対立していた英国産ブルーチーズの関税割当問題がどう決着したのかは分からない(「EUとの協定で定める低関税を保証する。各年度に、日EUで定めた低関税枠の輸入量に達しなければ事後的に低い税率を支払う仕組みを想定する」?何のことか分りますか)。

 

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、農業に関する取り決めの内容は、法的テキストが合意され、公表されるまではっきりしない。それには数週間かかるという。

 

 UK poised to strike trade deal with Japan,FT,20.9.11

 

 英国、日本の両政府、あるいはどちらかの政府にとって、なにか不都合な、あるいは解釈次第で好都合な内容が含まれているのかもしれない。

 

  

追記:912

 

 わが国メディアによると、ブルーチーズについては、「日欧EPAの低関税輸入枠の一部を事実上英国に移すことで、EUと英国を合わせた欧州全体からの輸入枠を維持することで折り合った」道内農業への打撃回避 日英貿易協定 「輸入枠認めず」原則に 北海道新聞 20.9.12)、「日欧EPAの輸入枠に余りがあれば、その範囲内で事後的に日欧EPAと同じ低関税を適用する仕組みとした」(日英協定 大筋合意 閣僚会談 関税削減は日欧並み 日本農業新聞 20.9.12)ということらしい。

 

 これが本当なら、イギリスはEUとの差別待遇(EUのおこぼれに与かる、農産食品輸出に関してはEU諸国の後塵を拝すること)を認めたことになる。EU離脱をめぐる騒動で弱みを抱えるイギリス政府、それでもこれを戦果として農業食品業界に売り込みたいのだろう(We will continue to benefit from access to the low tariffs for key food and drink products covered by quotas, such as Stilton cheese, tea extracts and bread mixesUK and Japan agree historic free trade agreement GOV.UK 20.9.11)。まさに弱肉強食の地域貿易協定だ。