農業情報研究所


EU・チリ:連合協定に合意

農業情報研究所(WAPIC)

2002.4.27

 26日、EUとチリが連合協定に関する政治的レベルでの合意に達した。この協定は自由貿易圏、政治対話、その他の広範な協力にかかわり、今後の二国間関係のフレームワークをなすものである。5月にマドリードで開かれるEU-ラテンアメリカ・サミットで、首脳レベルでの合意発表が行なわれることになる。

 両者は、ウイスキー・漁業・農業をめぐる激しい紛争をかかえるなか、2年以上をかけた交渉によりこの合意に達した。EUのラミー貿易担当委員によれば、これは貿易に関するすべての分野を含み、WTOでのそれぞれのコミットメントを越える協定である。

 物品に関する自由貿易協定は、工業・漁業・農業など、すべての分野をカバーする。関連して、地理的呼称・伝統的表示に対する双方の高度な保護を保証し、両サイドでの市場アクセスを拡大するワイン・スピリッツ協定、衛星植物検疫協定、関税分野等での貿易円滑化も含まれる。

 サービスにおける自由貿易協定、投資協定、公共調達協定も初めて結ばれ、競争・知的財産権に関するルール、紛争処理システムも定められる。

 当初、このような野心的協定が短期間に合意されるとは考えられなかったが、双方の強い政治的意志が実りをもたらすことになった。チリは米国とも同様な協定を交渉中であり、米国に先駆けての合意はEUにとっては願ってもない成果であろう。政治的・経済的危機と苦闘するチリにとっては、成長率引き上げの重要な要素となる。

 なお、EUは、個別国との関係強化とともに、ブラジルが主導するメルコスル(南米共同市場)による地域統合を支援、このグループとの自由貿易協定交渉を1999年以来続けている。チリとの合意は、この交渉の促進要因ともなるであろう。

 Commission Press Release:Statement of Commissioner Lamy announcing successful end to negotiations on EU-Chile Association Agreement ,02.4.26

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