農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2010年10月7日

ニュージーランド緑の党 TPPが自国の土地のコントロールと経済主権を奪う恐れ

 ニュージーランド緑の党が、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でニュージーランドが自国の土地のコントロールを失う恐れがあると警戒している。

 緑の党の指導者の一人、ラッセル・ノーマン博士によると、今週のTPP交渉で、米国がニュージーランドの海外投資管理制度を投資障壁として取り上げそうだ。米国通商代表部(USTR)はニュージーランドに関する最近のリポートで、ニュージーランドがセンシティブな土地への海外投資を審査している事実を強調している。USTRは、これを投資障壁と見ている。

 「米国政府は今や、海外投資に関してわが国が設けたルールを一つの障壁として特別に確認した」、「わが国外相も、これをTPP交渉に関するファクトシートで認めている」、「外国投資の審査はTPP交渉で問題として取り上げられることになりそうだ」。

 博士は、米豪FTAの前例からして、これが自国の土地のコントロールと経済主権を失うことにつながる恐れがあると言う。

 TPP negotiations could open NZ up to US land grab,infonews.co.nz,10,12.6
 http://www.infonews.co.nz/news.cfm?id=61602

 ともあれ、日本だけでなく、オセアニアの農業大国でも、TPPにかかわる心配の種は尽きないようだ。

 TPPに関する日本の関心は専ら農業への影響に注がれており、一般国民の関心は薄いが、 米国がかかわるFTAやEPAは、単に貿易障壁を取り払うだけでなく、まさに国家主権、法制度、環境や国民の健康・命にさえかかわる。例えば、遺伝子組み換え食品の表示制度の廃止、BSE発生国からの月齢制限なしの牛肉輸入なども強要されるだろう。消費者は、食料が安くなるから結構だとか、あるいは関心ないとか言っていていいのだろうか。