農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2011年11月12日 

日本のTPP交渉参加 米国の反応 フォード反対 議員は自動車・牛肉・チェリーに関心 交渉遅滞を恐れる業界

 野田首相が11日夜、首相官邸で行われた記者会見で「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べた。事実上の交渉参加意志表明である。以下は、これに対する米国の反応第一弾である。

 カーク米国通商代表

 「米国はTPP交渉参加を目ざしてTPP諸国との協議を始めるという野田首相の重要な日本の意図の表明を歓迎する」、「議会と国内関係者との緊密な協議において、日本との討議に入ることを期待する。交渉に加わるためには、日本は、TPPの貿易自由化に向けた高度のスタンダードを満たし、また農業・サービス・製造業製品貿易に対する非関税措置を含む障壁に関する米国の特別関心事項に取り組む用意がなければならない。・・・」。

 Statement by U.S. Trade Representative Ron Kirk on Japan's Announcement Regarding the Trans-Pacific Partnership,USTR,11.11.11

 ロイターの報道

 「少なくとも一つの米国大企業・フォード社が、日本政府はアメリカ車の輸入を妨げる非関税障壁に取り組む用意がないと信じる故に、日本の交渉入りに反対している。フォードは声明で次のように言っている。

 「我々はアメリカの職を創造し、アメリカの製造業を支え、アメリカの輸出を伸ばさねばならない。日本―世界で最も保護主義的な国―がTPPに参加することを許すのはその反対である」。「日本はすでに、我々が日本に輸出する自動車1台につき200台もの自動車をアメリカに輸出している」。

 「古参米議会議員のデイブ・キャンプ下院歳入委員会委員長は、自動車をめぐるフォードの懸念を強調するとともに、日本はアメリカ牛肉チェリーその他の農産物に対する障壁に取り組む意思を示さねばならないと言う」。

 「他方、アメリカ豚生産者は日本の交渉参加を強く支持する。日本はアメリカ豚肉産業のNo.1の市場だ」。

 「ボーイング、カタピラー、マイクロソフトなどのアメリカ大輸出企業を代表するナショナル外国貿易カウンシルは、野田の要求は”日本経済の方向とアジア太平洋地域の方向の歴史的変化を画する可能性があると言う。しかし、TPP交渉は、”世界経済活性化のためには何年というより何ヵ月かのうちに交渉の第一段階を終えることが決定的に重要だと言う」。

 「ビジネス界の一部は、日本の参入が勢いを削ぎ、交渉の足を引っ張ると恐れている」

 UPDATE 2-US says Japan must meet high TPP standards,Reuters,11.11.11

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Japan set to join trade discussions,FT.com,11.11.11