農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース;2012年11月19日

タイ政府 米国とのTPP交渉開始に合意というが 交渉参加には国内手続きの厚い壁

 11月18日、 多くの活動家がTPPに抗議するためにドンムアン空港を取り巻く中、タイを訪れたオバマ米大統領とタイのインラック首相が会談、米国とタイとがTPPに関する交渉と安全保障問題で協同することに合意した。

 会談後に行われた18日夜の共同記者会見で、オバマ大統領は、安全保障と貿易・投資がタイ指導者との二国間協議における最優先議題であり、貿易・投資における協力はTPP交渉の中心課題をなすと述べた。オバマ大統領は、「必要な国内法的手続きに服することになるだろうTPP交渉へのタイの関心を歓迎する」と声明した。タイ政府は、いかなる国際協定も、議会の承認のために提出される前に公衆の意見を聴かねばならないというタイ憲法190条を踏まえたものだ。

 他方、タイがTPPに加わることを今日の会談でオバマ大統領と約束するわけではなく、TPPについてさらに研究できるように詳細な説明を求めるとしていたインラック首相は、「政府はTPPに関する米国との交渉を開始することに合意したが、憲法の要請に従い、すべての関係者に諮り、また議会に提出して承認を得ることになる」と述べた。

 日本政府と同様、タイ政府もTPP参加に前のめりであることは明らかだが、タイ国内には対米FTA交渉を立ち消えに追いこんだ強力なFTA反対勢力が存在する。TPPに関しても、金融サービスへの影響を恐れる声だけでなく、もしタイがTPPに加われば薬価は倍近くに跳ね上がり、人々の健康と命を脅かすといった市民・消費者団体の声も渦巻いている。交渉参加には、米国議会やすでに交渉に参加している10ヵ国の承認も必要だ。タイ政府が交渉参加を望んだとしても、参加までの道のりはいささか長いものとなるだろう。

 Obama arrives on whirlwind tour ,Bangkok Post,12.11.19
 Activists take TPP protest to airport,Bangkok Post,12.11.19
 
PM stays coy on US-led trade pact,Bangkok Post,12.11.18
 
Long road to joining TPP negotiations,The Ntion,12.11.19