農業情報研究所

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米国NPO報告、FDAのGM食品安全審査体制は不十分

農業情報研究所(WAPIC)

03.1.10

 1月7日、米国の非営利団体・公益」科学センター(CSPI)は、その報告書が米国食品医薬局(FDA)は遺伝子組み換え(GM)食品の安全性を適切に評価する権限も情報も欠いていることを明らかにしたと発表した(Plugging The Holes in Biotech Food Safety)。新たな報告は、現在市場に出ている僅かなGM食品は安全であるようにみえるが、FDAは、ますます複雑になる方法で操作される将来の食品の安全を保証する準備ができていないと言う。

 現在、バイテク企業は、安全性審査のためにFDAにテストのデータを提出することを奨励されてはいるが、義務づけられてはいない。CSPIは、情報公開法により得られた14の申請を検討し、企業は、時に、FDAの一層の情報提供要求を拒絶していることが分かった。報告書の著者は、新たな作物の安全性データのFDAの審査が頼る自主的通報手続がFDAの一層の情報請求を無視することを許しており、法的に義務づけられた手続が必要と言う。

 報告書は、FDAが見落とした企業により提供された安全性データの技術的欠陥や明白な間違いも発見した。また、一開発者はアレルゲンをテストするために不適切な方法を使用していること、別の企業は毒性やanti-nutrientsの評価に失敗していることも分かった。

 CSPI報告の第一の勧告は、自主的通報システムを義務的な事前の(市場放出前の)承認システムに置き換えることであり、これによって企業に一層詳細なテスト情報の提出を求めることである。そのような立法を欠いても、FDAは、それが審査するGM食品が安全であるという消費者の一層の信頼を獲得する手段を取ることができる。FDAは開発者に向けた詳細な安全性テストのガイドラインを開発すべきである。申請書類は開発者により大きく異なっており、FDAは企業がどんなテストを行い、どれほどのデータを提供すべきか、十分なガイドラインを出すべきだという。

 報告書は、GM作物は消費者にも環境にも巨大な便益をもたらす潜在力があるけれども、危険なバイテク製品が市場に出れば、技術は短命に終わると警告している。

 報告書の著者は、GM作物の食品安全側面を検討する全米科学アカデミーの委員会の9日の会合で、CSPIの関心事項を提出する。

 関連報道
 
FDA Policies for Gene-Altered Foods Faulted in Report,The Washington Post,1.7