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米国:農務省、GM小麦承認に厳格な条件

農業情報研究所(WAPIC)

03.3.16

 ワシントン・ポスト紙[1]が伝えるところによると、米国農務省(USDA)は、15日、モンサント社が販売承認を求めている世界初の遺伝子組み換え(GM)小麦−ラウンドアップ・レディ小麦−について、外国市場が受け入れるまではそれを販売しないという同社の約束を遵守させるための厳格な条件を課す。

 この小麦は米国とカナダで審査されており、2年以内に販売が承認されると見られている。しかし、批判者は、GM小麦に対する消費者の態度は非常に否定的で、もし販売されれば、国内・外国のバイヤーはすべての米国小麦を避けることになりそうだと言ってきた。モンサント社も、少なくともカナダと日本が受け入れるまでは販売しないと約束している。USDAはこの約束が遵守されるように、承認に際してはモンサント社が一定の要件を満たすように要求する。

 現在、米国の小麦輸出業者は、米国ではGM小麦は販売されていないというUSDA承認の「ステートメント」を得て外国市場に販売している。ワシントン・ポスト紙によれば、USDAの連邦穀物検査局次長のデヴィッド・シップマンは、ステーツメントを継続発行するとすれば、それが正確であることを保証する必要があると言い、USDAは、モンサント社にGM小麦が販売されていないことを保証するための独立機関の検査に服するように要求する案を検討しているという。また、同社は、各販売年の前に、GM小麦を販売しないというステートメントに調印しなければならず、USDAがDNA検査を実施できるように情報を提供する必要もある。これらの提案を知った上で違反すれば、重い罰を受けることにもなるであろう。

 米国のGM小麦販売については、先週(11日)、10万人の加入者をもつワシントンの消費者・環境NPO・食品安全センターに率いられた広範な環境・農業団体連合体が、USDAに対して連邦のモラトリアムを求める公式請願を行なっている[2]。請願は、GM小麦が圃場で自然に他の小麦と交雑することになり、米国農民がEUその他の外国に輸出するのを不可能にすると述べていた。また、グルホサート(除草剤)耐性のモンサントの小麦は環境を害し、グリホサート耐性の「スーパー雑草」の出現にもつながると主張している。


[1] USDA Mulls Rules for Monsanto Biotech Wheat,washingtonpost.com,3.15

[2] Groups Petition for Moratorium on Bioteh Wheat,Reuters,3.11
   Coalition Asks for In-Depth Study of Genetically Modified Wheat,St. Louis Post-Dispatch,,3.12