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イギリス:GM大豆飼料の有機チキンが発覚

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.9

 イギリスの「インデペンデント・日曜版」が遺伝子組み換え(GM)大豆で不法に飼育された1,200の有機チキンの投げ売りを余儀なくされたと報じた(GM feed alert over organic chickens,Independent,6.8)。

 この大豆は、EUの禁止に反してイタリアから来たもので、昨年末にデボン北部の通常の飼料検査でGM大豆混入が発見された。有機食品がGM汚染で販売を止められたのはイギリスで初めてのことという。この発見により、イギリス最大の有機認証団体である土壌協会(ソイル・アソセーション)は関係農民に緊急警告を発し、汚染飼料を購入したすべての有機農家を追跡せざるをえなくなった。関係農家は有機チキン販売のライセンスを剥奪され、非有機チキンとして最低の価格で販売した。

 イギリスでは、今月初めから、GM作物の商用栽培の許可の是非をめぐる政府が組織した国民的論議が始まっている。政府は既に許可を結論しており、それを正当化するための論議にすぎないという強い批判が渦巻いているが、この事件が、なおGM食品懐疑派が圧倒的に多い国民の政府による説得の試みを一層困難にするであろう。環境担当相・マーガレット・ベケットと食品基準庁(FSA)は「GMフリー」表示の食品の偶然のGM汚染の限界を厳しくする案(欧州議会は0.5%案を採択している)に強く抵抗しているが、事件はこれをめぐる論議にも影響するかもしれない。