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インド:蛋白質増強GMポテト商用栽培へ

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.12

 遺伝子組み換え(GM)技術により免疫システムを強化したり、栄養価を高めるいわゆる「機能」食品を作り出す試みが世界中で凌ぎを削っているが、何年も前からのこの約束はなお実用に至っていない。しかし、近い将来、インドが先頭を切って、このような作物の商用栽培に漕ぎつけそうである。イギリスのBBCニュースやガーディアン紙が伝えるところによると、インドは、蛋白質やその他の栄養の含有量を大きく増やした「プロタト」と呼ばれるGMポテトの商用栽培を6ヵ月以内に承認するだろうという。

 このポテトは、南米を原産地とし、健康食品店で広く売られているアマランスから採取したAmA1と呼ばれる遺伝子を追加したもので、蛋白質含有量は通常のものより30-50%多く、リジン、メチオニンといったアミノ酸も多く含むという。インド政府のバイオテクノロジー部・遺伝子組み換え審査委員会をリードするアシス・ダッタに率いられた研究チームが開発しているもので、現在3年目のフィールド実験を行なっている。バイオテクノロジー部長のマンジュ・シャルマは、このポテトを学校給食に使い、数百万の貧困児童の栄養不良を改善すると言っている。

 しかし、インドの中心的食品アナリスト・デヴィンダー・シャルマは、この国が必要としているのは豆であり、インドで伝統的に利用されている豆は20-26%の蛋白質を含むが、このポテトは2.5%含むだけだと言う。批判者は、子供の栄養不良をもっと簡単に、安く解消できるはるかに栄養価の高い別の通常栽培食品があると批判している。開発の目的は、機能食品開発レースの先頭に立ち、ポテト世界市場を制することを狙ったものという見方もある。インドは、現在、世界29ヵ国に1万8千トンのポテトを輸出、バングラデシュやその他の途上国への種イモの主要供給者であるという。

 India's search for enhanced food,BBCNews,6.11
 Scientists develop GM 'protato' to feed India's poorest children
,Guardian Unlimited,6.12