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米国:工業品製造GM作物規制強化を発表

農業情報研究所(WAPIC)

03.8.7

 米国農務省(USDA)は8月5日、家庭用品、プラスティック、化学製品などの工業製品を作り出す遺伝子組み換え(GM)作物の栽培に対する規制を強化すると発表した(APHIS News Release:USDA TO REQUIRE PERMITS FOR ALL INDUSTRIAL BIOTECH PLANTS)。

 新たなルールでは、まず、実験圃場の監視を強化する。監視官は、最低でも栽培期間中に7回、収穫後に2回、実験サイトを監査する。最終回の監査は作物が再発芽しないように保証するものである。また圃場実験の企業記録を監査する。従来、こうした作物を栽培する企業は栽培前に当局に通知するだけでよかった。

 近隣植物との交雑を防ぐために、実験GM作物の周辺に50フィートの緩衝帯を設けねばならない。また、これを栽培する農民は食用作物から1マイル以上離さねばならず、耕作、管理、収穫には専用農場施設を使わねばならない。このような規制は薬品製造GM作物に対するものと同様である。ただ、このような規制強化に対し、食品加工業界は歓迎しながらも、食品への混入を100%防ぐにはなお不十分としている。

 なお、工業製品製造GM植物の栽培の通知は、1993年から2001年までに10件あったにすぎないが、今年は既に5件の通知がある。USDAは、これら企業が何を栽培しているかを公表する義務を負わせていない。それは企業機密ということである。

 公益科学センターはどこで何が栽培されるのか、これら植物にいかなる成分が挿入されているか公表するように求めている。また参加科学者連盟は、環境に影響があり得ることから、公衆がコメントを許されるべきだと主張している。

 新ルール発表について、バイオテクノロジー産業協会(BIO)は、バイオテクノロジーへの消費者やその他の関係者の信頼を勝ち取るために、また将来の新分野の登場に対応する規制の確保のためにも、今回の規制強化を支持するという声明を出した(BIO Statement on New Guidelines for Industrial Biotech Plants)。コーン栽培者協会も歓迎を表明している。

 新ルールは2004年12月まで適用、パブリック・コメントを求め、来年末には長期ルールを出す。

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