米国農務省、ビタミンE増量コーン・大豆を開発中

農業情報研究所(WAPIC)

03.10.16

 米国農務省(USDA)の農業研究局(ARS)がビタミンEを多量に含むコーンその他の作物を開発中と発表した(Boosting Vitamin E in Corn and Other Crops ,03.10.9)。ビタミンEは、とくに妊婦に重要で、一部研究者が心臓病のリスクを減らすことを立証したが、米国人の25%は十分に摂取していない。従って、これらの作物は有望商品になるだろう、これが開発理由らしい。

 高レベルのビタミンEを含む米、大麦、小麦に発見された遺伝子を使い、3年間の研究で、安全で健康的なコーン品種が完成した。さらに大豆での同様な研究を進めているという。

 ビタミンEは、自然にできるトコトリエノール及びトコフェノールの一般名であるが、ARSの研究者は穀粒中のトコトリエノールの生産に関係する酵素(ホモゲンチジン酸ゲラニルゲラニル転移酵素)の遺伝子を分離、コーンに付け加えた。このコーンの穀粒中のビタミンE含有量は6倍に増えたという。研究は「ネイチャー・バイオテクノロジー」9月号に発表された。

 このARS Newsは、末尾にビタミンEは植物油、ナッツ、緑葉野菜に自然に含まれるとわざわざ書いている。アメリカでこれらが不足しているわけではない。しかし、将来、ビタミンE増量コーン・大豆を原料とする加工食品が氾濫することになろう。バランスの取れた健全な食事はますます遠ざかる。アメリカ人の考えることは、頭の古い小生には理解不能だが、同じようなことを考える小ざかしい役人や研究者は日本でも増殖している。まったく困った風潮だ。

農業情報研究所(WAPIC)

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