EU、GMO新規承認モラトリアム解除に関する決定を延期
03.11.11
11月10日、EUの食物連鎖動物保健常設委員会は、1998年以来のGMO新規承認の事実上の「モラトリアム」の解除にかかわる決定を12月まで先延ばしした。この日、欧州委員会による遺伝子組み換え(GM)スウィートコーンの販売承認の提案が承認される見通しであったが、会議を蓋を開けると様々な異論が続出、投票は12月半ばへの延期を余儀なくされた。
このコーンは、シンジェンタ社が承認申請していた害虫及び除草剤(グルフォサート・アンモニウム)耐性の人間食料用スウィートコーン(Bt11)で、米国では既に承認され、ポップコーンなどに利用されている。この日の会合で特に問題にされたのは承認のタイミングであったという。新たなGMO表示・トレーサビリティー規則が発効するのは来年4月であるから、今承認すればGMOの追跡に問題が生じるということのようだ。欧州委員会が承認のための規則を修正すると発表したが、修正は「技術的」なものだという。
この決定にかかわる常設委員会はEU15ヵ国の各国専門家で構成され、決定は多数決で行われる。イギリスなど多数の国が欧州委員会提案を支持すると見られていた。来月には欧州委員会の修正案が通る可能性はある。そこでも承認が否決されれば、最終決定は閣僚理事会による特定多数決に委ねられる。この場合には、決定はさらに数ヵ月延びることになる。
農業情報研究所