世界のGM作物栽培、7千万haに迫る―03年の世界での栽培状況

農業情報研究所

04.1.15

 農業バイテク企業を主要なスポンサーとする遺伝子組み換え(GM)作物普及国際団体・ISAAAが、2003年のGM作物の世界における栽培状況に関する報告を発表した。GM作物が栽培された総面積は前年によりも15%増加、6千770万haになったという。

 この面積には、2003年に初めて公認されたブラジルでのGM大豆300万haも含まれるが、実際にはこれを大きく上回る可能性もある(ISAAAの数字はGM種子の販売量に基づく推計で、実際の栽培面積に合致するものではない。ブラジルでの栽培はほほんどアルゼンチンからの密輸種子とその栽培により自家採取された種子によるものである)。事実上の新規栽培国はフィリピン(GMコーン)だけであるが、ブラジルもこれに加えた世界における公認栽培国は前年の16ヵ国から18ヵ国に増えたことになる。前年は16ヵ国の600万の農民が栽培したことになっていたが、2003年には18ヵ国の700万農民がGM作物を栽培したとされる。うち、途上国農民が85%を占める。

 02年には、米国・アルゼンチン・カナダ・中国の4ヵ国の栽培面積が99%以上を占めたが、03年はブラジル、南アフリカが栽培面積を大きく増やし、これと前記4ヵ国で99%以上を占めることになった。オーストラリア、インド、ルーマニア、ウルグアイで5万ha以上が栽培され、他の8ヵ国の栽培面積は5万ha以下と推計される。ヨーロッパに関しては、スペインにおける害虫抵抗性Btコーンの栽培が前年の2万5千haから3.2万haへと33%増加した。ルーマニアではGM大豆の面積が50%増加、7万haとなり、ブルガリアは数千haでの除草剤耐性トウモロコシ栽培、ドイツは小面積でのGMトウモロコシ栽培を継続した。

 ただし、主要作物は依然として大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタに限られている。最も栽培面積が大きいのは引き続きGM大豆で、前年より13%増加、4千140万haになった。世界の大豆栽培総面積の55%(前年は51%)を占める。GMトウモロコシは、二つの新品種の発売と新たな国におけるその栽培許可により、前年より25%増えた。その総面積は1千550万haで、トウモロコシ総栽培面積の11%になる。GMナタネ栽培面積は20%増加で360万ha(総面積の16%)、GMワタ栽培面積は6%増加、720万ha(21%)となった。

 主要6ヵ国のGM作物栽培面積とその対前年増加率、GM作物世界栽培面積に占める比率(シェア)は次のとおりである(ただし、ブラジルのシェアは世界のGM大豆総面積に対する比率)。 

  米国 アルゼンチン カナダ ブラジル 中国 南アフリカ
面積(百万ha)

42.8

13.9

4.4

3

2.8

0.4

増加率(%)

10

3

26

-

33

33

ジェア(%)

63

21

6

4

4

1

 なお、中国での栽培はGMワタだけで、同国のワタ面積の58%を占める。オーストラリアのGM作物栽培面積は長期にわたる干ばつのために僅かに減少、10万haにGMワタが栽培された。インドはGMワタ(Bt)栽培が始まって2年目であるが、面積は倍増、10万haになったとされている。

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