フィリピン農業労働者がGMトウモロコシ花粉のBt毒に暴露?―ノルウェー研究者

農業情報研究所

04.2.25

 ロイター等の報道によると、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの畑の近くに住むフィリピンの農業労働者が花粉放出季後の3ヵ月、トウモロコシの害虫抵抗毒に曝された兆候が発見されたという。23日、マレーシア・クアラルンプールでGM生物の貿易と生産のあり得るリスクを減らす新たな国際条約(カルタヘナ議定書)に関する国際会合が始まったが、その傍ら、ノルウェーの研究者・T・トラーヴィク(Terje Traavik)氏が明かにした。

 彼によると、ミンダナオ島農村の39人の血液サンプルで、三つの異なる抗体のレベルの上昇が観察され、これは害虫を殺すために生産されるBt毒に対する免疫反応の証拠だという。免疫反応の時期は通常の花粉症の時期ではなく、6月のトウモロコシの開花期と重なる。このトウモロコシはモンサント社が販売する”Dekalb 818 YG”と呼ばれる品種で、フィリピンでの栽培は昨年初めて行われた。栽培面積はフィリピンのトウモロコシ総面積250万haのうち1万5千ha、今年は3万haに倍増するという。

 スイス・シンジェンタ社の前バイテク法コンサルタントのウィリー・グリーフ氏はこの発見に驚きを表明、研究はBtトウモロコシの花粉は毒を持たず、反応が起きるはずがない、この結果を調査する科学者パネルの設置を望むと語っている(Farmers exposed to gene-modified maize's toxins,Business World,2.25)。また、農業省コーン計画部長で植物育種・細胞遺伝学の学位を持つサルザール氏は、研究の意味するところは害虫抵抗性遺伝子が人間の遺伝子に挿入されたということだが、これはあり得ないことだと、トラーヴィック氏に対して政府や他の科学者による分析のための知見のコピーを提供するように求めたという(Manila rejects GM maize health finding,Reuters via Yahoo!,2.24 )。 

 こんなことが本当にあり得るのだろうか。専門家の意見を聴きたいところだ。

農業情報研究所

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