イタリアへの非GMO飼育牛輸出に取り組むフランス養牛農家

農業情報研究所

04.2.25 

 フランス養牛農家団体を糾合する牛肉品質認証団体”Acequal”が、非遺伝子組み換え(GM)フランス牛肉を求めるイタリア最大の流通グループ・Coop Italiaの要請に応えることができる草だけで育てられる小牛の生産と輸出に取り組んでいる。

 イタリアは、繁殖母牛放牧地域で育つ小牛を肥育のために輸出してきた(飼料の欠乏のために山地での肥育は困難)フランス山地にとっての重要な伝統的市場である。山地等、肉用繁殖母牛放牧地域の養牛農家の大部分の団体とアルザス・ロレーヌ地方のロレーヌ畜産協会(APAL)を糾合して98年に設立されたAcequalは、養牛農家・その諸団体・牛肉購入者・飼料製造者の接点をなしている。

 Acequalの目的は、このような小牛と肥育牛にかかわる諸部門の関係を取り持ち、呼称と基準書を共通化することで諸団体がその加入者、養牛農家、購入者のもつ能力を最大限に活用ことを可能にすることにある。それが管理するのは、主としてイタリアの販売管理組織が関係するBFE(フランス輸出小牛)と、イタリア市場で30%ほどのシェアをもつCoop Italia向けの99%非GM飼料で飼育される小牛である。Coop Italiaは、長年にわたり遺伝子組み換え体(GMO)を含まない製品の販売を希望してきた。これに応えるために、Acequalは、含まれるGMOが1%以下の飼料で育てられた小牛をイタリアの肥育農家に供給する基準書を作り、管理することになったわけだ。ただし、EUの新表示規則がGMO0.9%以上を含む製品に表示を義務づけたことから、今後は99.1%以上非GM飼料で育てるように変更される。この2年来、Acequalは70の飼料製造者、17の輸出業者、15の養牛農家団体を認証している。

 現在、Coop Italiaは販売頭数を増やし、2005年以後は100%非GMOの牛を供給することを目指している。このために、イタリア肥育業者に非GMO肥育牛供給体制を迅速に整えるように促している。その店頭にはなおGMO牛肉が置かれており、非GMO牛肉が店頭に出る度に、販売は5%から30%増えるという。昨年夏以来、繁殖母牛地域の主要輸出業者の契約により、その販売量は急増している。Acequalが管理する非GMO輸出牛は、昨年12月半ば、9,139頭となった。うち雄牛が5,702頭(92.5%)を占める。主要品種は、シャロレー4,546頭、交雑種2,936頭、サレール737頭、リムーザン216頭だった。

 加入者を増やし、コスト増を補償するために、Acequalは雄1頭当たり26ユーロ(約3,600円)、雌1頭当たり22ユーロ(約3,000円)の追加支払いを交渉した。03年後半、670の養牛農家に総額22万4千ユーロ(約3千万円)の追加支払いを行ったことになる。今年1月には1,700頭が輸出され、2月半ばまでには1万5千頭が輸出された。今年の追加支払いははるかに大きなものになる。

 GMOとはおかしなものだ。毛嫌いされ、今までのところ農家には何の利益も生んでいないが、こんな商機も生まれる。だが、消費者は、こんな余計なものの開発のおかげで高い買い物をすることになる。

 Source:Associations d’éleveurs - Acequal, démarrage réussi pour les broutards 99% non OGM,Agrisalon,2.23

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