地球の友とグリーンピース、EU諸国政府にGMライス輸入拒否を要

農業情報研究所

04.3.25

 ドイツに本拠を置くバイエル社が除草剤耐性ライスのEUへの輸入許可を申請している。22日、地球の友・ヨーロッパとグリーンピースが、世界で最も重要な必需食料品が多国籍企業の支配下に落ちると、EU諸国政府にこの申請の拒否を要請する共同声明を出した(EU MEMBER STATES URGED TO REJECT GENETICALLY MODIFIED RICE:World staple food at risk from multinationals)。以下はその全文を訳したものである。

 EU各国は、3月28日・日曜日までに、会社自身の除草剤・グリフォシネート・アンモニウムに耐性を持つように組み換えられたGMライス(LL Rice 62)をEUに輸入するためのドイツに本拠を置くバイエル・クロップサイエンス社の申請に反対しなければならない。企業がヨーロッパでGMライスの認可をもとめたのはこれが初めてである。地球の友とグリーンピースは共に、このライスのEUによる承認は途上国に危険信号を送ることになり、世界で最も重要な必需食料品の一つの企業支配につながり得ると主張する。現在、25億の人々がコメを基本食料として生活している。

 今日のブリュッセルでの記者会見では、国際的に著名な食糧安全保障の専門家であるインドのシャルマ氏が地球の友とグリーンピースに加わった。シャルマ氏は、コメ、アジアの基本食料は、着実にヨーロッパと米国に本拠を置く多国籍企業の支配下に置かれつつあり、これら企業は不公正な特許慣行と食料の遺伝子操作を利用していると指摘した。彼は、途上国におけるヨーロッパと米国の企業によるさらなる「白昼の遺伝資源略奪」の危険に警告した。

 地球の友とグリーンピースは、世界の食料供給への脅威とともに、このコメに関して、いかなる長期的研究も深刻な健康影響の可能性を検討していないことを憂慮する。

 バイエル社は、GMライスのアレルギー成分の量が増えることを観察したが、いかなる説明も提供されていないし、さらなる研究も行われなかった。04年1月28日にこのコメに関する肯定的リスク評価を与えた英国当局は、EUの外部でのこのコメの栽培の環境影響を考慮しなかった。バイエル社は、輸入米が撒き散らされる可能性やそれによる現在コメを栽培しているEU5ヵ国(イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、フランス)へのあり得る影響に関するいかなる情報も提供していない。

 グリーンピースのEric Gallは、「GMライスはコメの生物多様性への、したがってアジアの無数の農民の生計への重大な脅威になる。ヨーロッパのコメ生産地域を汚染するリスクがあるだけでなく、その安全性をめぐる基本的問題が答えられていない。EU諸国には重大な責任があり、GMライス輸入許可を速やかに拒否すべきだ」と語った。

 地球の友のGeert Ritsemaは、「我々は人類の主要必需食料への企業の攻撃に直面している。ヨーロッパへのGMライスの輸入を許せば、多国籍企業が途上国においてこのコメの持続不能な栽培を促進することを許すことになる。世界の最も重要な必需食料がバイエルのような企業の手に落ちるのは危険であり、前例のない動きだ」と語った。

 バイエル社のGMライスの食品安全性と環境リスクについての詳細な説明は、ここで見ることができる。

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