アンゴラがGM食品・種子輸入を禁止、食糧援助が危機に

農業情報研究所

04.3.31

 アンゴラ政府は3月17日、突如として粉にされていない遺伝子組み換え(GM)食品・種子の輸入を禁止した。国連世界食糧計画(WFP)は、緊急の援助を必要としている戦争難民からなる200万人への食糧援助が危機に陥ると警告している。WFPのの援助食糧の77%は、GM品を含む米国からのものだからだ。

 ジンバブエ、マラウィ、モザンビークなどは、援助トウモロコシが国内で播かれ、在来作物の遺伝子汚染が起きることを恐れ、飢餓が迫るなかでもGM援助トウモロコシの受け入れを拒否、結局は製粉されたものを受け入れた。ザンビアは、人間の健康リスクが否定できないと、粉の受け入れも拒否している。しかし、アンゴラの決定はあまりに唐突で、1万9千トンの援助トウモロコシを運ぶ船は既にアンゴラの港に向けて出港しているという。アンゴラ国内の製粉能力は一日当たり250トンしかない。

 食糧援助供与国は、腐敗した被援助国政府への不信から、食糧援助に懐疑的になっている。そのために、WFPは必要な量の援助の確保に苦闘している。実際、WFPは、アンゴラで5月から12月までに必要とされる援助として2億1千900万ドルを要請しているが、受け取ったのは3千500万ドルにすぎない。WFPは、今回のアンゴラの決定が一層事態を悪くするだろうと恐れている。 

 ニュース・ソース
 Angolan ban on GM food 'puta aid plans at risk',Financial Times,3.30
 Angola's Plan to Turn Altered Food Imperils Aid,The New York Times,3.30

 関連情報
 南部アフリカ:飢餓と遺伝子組み換え食糧援助の狭間で,02.8.29
 

農業情報研究所

グローバリゼーション 食品安全 遺伝子組み換え 狂牛病 農業・農村・食料 環境