カリフォルニア米業界、薬用GM米栽培にゴーサイン
04.4.1
カリフォルニアのコメ業界を代表するカリフォルニア・ライス委員会は29日、サクラメントのVentria Bioscienceが行った薬剤生産遺伝子組み換え(GM)ライスの栽培許可申請を6対5の僅差で承認した。最終決定はカリフォルニア食料農業省が行うが、委員会は今シーズンの栽培に間に合うように、通常の30日間のパブリック・コメントの期間を10日間に短縮する緊急手続による決定を求めている。食品安全センターは、それは可能だが、決定が何時になるかは、コメントの出方によるという。
このコメは、母乳に含まれ、バクテリアやウィルスの成長を抑える人間の蛋白質であるラクトフェリンとリゾチームを生産する。このコメは食用としては使わない。収穫後にこれら蛋白質を抽出して、「医療食品」に利用する他の企業に販売する。販売のターゲットは、鉄分不足の婦人、慢性的な下痢を患う子供、鉄分不足や下痢につながる慢性病の患者だという。このような製品の販売は食品医薬局(FDA)の承認を得なければならないだろう。
Ventria Bioscience社によれば、ラクフェリンは玄米重量の05%、リゾチームは玄米重量の0.6%が安定的に含まれ、効率的で安価に生産できる。コメ生産費は通常のコメの3倍になるが、それでも採算は取れると考えている。気になるのはこれら蛋白質の安全性だが、性質や働きは、「ネイティブ・ソース」のものとのいかなる違いも認められないというVentria Bioscience社からの情報があるだけである(⇒Ventria Bioscience Featured in BioProcess International: High-Level Protein Expression System Uses Self-Pollinating Crops As Hosts)。
ライス委員会は、このコメが食料チェーンに入らないようにする適切な防護措置を取るという同社の合意を得て承認した。栽培場所は、州のコメの90%近くを生産する諸郡から遠く離れ、現在コメが栽培されていない10郡に限定する。コメの加工方法や農場・輸送設備の利用方法についても厳格なルールを適用する。
しかし、一部コメ生産者や消費者・環境保護団体は反対している。反対者は、この規制では薬剤生産GM米による有機米・非GM米の汚染は不可避と見ており、カリフォルニアの生産者・消費者の利益にならないと言う。生産者は、特に日本にコメが売れなくなることを恐れている。日本の団体にも反対支援を要請している。
関連ニュース
Commission OKs genetically
modified rice crops,Sacramento Business Journal,3.29.
Waiter,There's a Drug in
My Rice,Wired News,3.30.
'Pharmaceutical' rice plan
advances in State,Los Angeles Times,3.30
農業情報研究所