欧州委員会、GMトウモロコシ種子販売を許可、GMナタネ輸入・加工承認も提案

農業情報研究所(WAPIC)

04.9.9

 欧州委員会は8日、遺伝子組み換え(GM)Btトウモロコシ・MON 810から派生する17品種の農業用植物種品種共通EUカタログへの登録を承認した。これは、これら品種の種子のEU全域での販売が可能になったことを意味する。このトウモロコシはEU立法により98年以来承認されていた。フランスで6品種、スペインで11品種が国家カタログに登録され、これらはそれぞれの国内に限っての販売が可能であった(スペインでは実際に栽培されてきた)。

 共通カタログはEU加盟国の国家カタログに基づき編纂されるもので、種子品種が国家カタログに登録されると欧州委員会に通知され、委員会は共通カタログへの登録を求められる。MON810の許可を持つモンサント社は、GMOの環境放出許可の手続を定める欧州共同体指令(2001/18/EC)により要求されるモニタリング・プランを提出、このプランは植物に関する科学委員会により評価され、各国代表者で構成される規制委員会により承認された。これら品種は、GMOに関する新たな規制フレームワークで確立された表示とトレーサビリティーの要件に従うことになる。

 ただし、GMOが0.3%以上含まれるGMトウモロコシ種子はGM種子と表示すべきという欧州委員会が主張してきた論争の激しい基準の決定は先送りされた。種子産業はこの基準は低すぎて、非GM種子供給のコストが高くなると反対している。他方、環境団体は検出限界の0.1%を主張しており、欧州議会もこれを支持している。

 同じ日、欧州委員会は除草剤耐性のGM採油用ナタネ・GT23の輸入と加工を承認する閣僚理事会宛て提案も採択した。閣僚理事会は提案を特定多数決で採択するか、拒否するかを決定できる。3ヵ月以内に決定ができなければ、欧州委員会の決定に委ねられることになる。各国代表で構成されるGMOの環境への放出に関する規制委員会は意見が割れ、欧州委員会提案についての意見を出すことができなかった。閣僚理事会も決定できない可能性が高い。なお、このナタネから作られる油は、97年以来、人間の消費用に承認されている。

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