アンゴラ、GM食料の輸入・利用禁止で食糧援助不足の恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

05.1.26

 国連統合地域情報ネットワーク(IRIN)が伝えるところによると、遺伝子組み換え(GM)食料の輸入と利用を禁止するアンゴラの法律が発効、既に規模が縮小している食糧援助がさらに減る恐れが出ている(ANGOLA: GM food ban comes into effect, sparks WFP concern,1.25)。必ずしも国連の見解を反映するものではないと断った上でのこの報告は次のように伝える。

 04年12月に発効したこの法律は、食糧援助に向けられたものでないかぎり、GM種子・穀粒の国内持込を禁止する。しかし、地域の基本食糧であるトウモロコシのような食糧援助穀粒も、そのまま配給されないように、国に到着する前か、入ってすぐに製粉されねばならない(言うまでもなく、それが種として播かれるのを防ぐためである)。人道的援助に携わる人々は、コストが高いこの製粉工程のために、多くは国内移住者か帰還難民であり、なお食糧援助に頼っている100万のアンゴラ人に渡る食糧が減るのを恐れているのだという。

 世界食糧計画(WWP)はGM製品を受け入れるように政府に圧力をかけることはしていないが、新たな法律が援助供与国からの食糧拠出に悪影響を与えると警告した。WFPスポークスマンのシマオ氏は、一部の国が、製粉の余分なコストのために援助を減らす意図を既に表明していると語る。国連食糧機関は、法律を変更する政府の意図を数ヵ月前から供与国に伝え、非GM食糧か製粉済みのトウモロコシの供与を求めてきた。シマオ氏は、供与国が現金を出し、我々がアンゴラか地域内で食糧を購入する別の解決策もあると言う。

 しかし、一部の大供与国は、既に拠出を減らし始めた。政府の意図が初めて発表された昨年初めには、米国がトウモロコシを1万9000トンほど拠出すると予想された。しかし、これはその後、GM作物ではない1万4000トンのソルガムに換えられた。米国大使館代表のコメントは得られないという。

 食糧援助をアフリカへのGM種子売り込みの手段に使うという産官一体の数年来の米国戦略、一向に衰えない強い抵抗で成功の見通しはなお立たないようだ。

 関連情報
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南部アフリカ:飢餓と遺伝子組み換え食糧援助の狭間で,02.8.29