農水省 米国産飼料用トウモロコシに未承認GMトウモロコシ・Bt10を検出の発表

農業情報研究所(WAPIC)

05.6.2

 農水省は1日、米国産飼料用トウモロコシから安全性未確認の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・Bt10が検出されたと発表した(http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050601press_7.html)。5月26日に名古屋港で船舶からサイロに荷揚げする際に採取した試料の検査(PCR法、検出限界 0.05%)で検出された。同じ船倉に収容されていたトウモロコシについては全量検査し、Bt10が検出された場合には国内に流通させないという。これらトウモロコシの処分方法については触れられていない。

 また、これまでの輸入の際の検査は、日本に入港する船のうち一定数を対象としてきたが、今後当分の間は、検査対象を全船に拡大するという。

 アイルランドでは先月、Bt10に汚染されたコーングルテン飼料の米国からの船荷が発見されている(アイルランドに未承認GMトウモロコシBt10汚染飼料が入港 廃棄処分へ05.5.26)。

 農水省は3月、「Bt10の作付面積は米国でのトウモロコシ作付面積に占める割合は0.01%程度と非常に低いレベルであることから、Bt10が日本に輸入された可能性は低く・・・」と発表している(http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050323press_6.pdf)。この予想は崩れたことになる。栽培面積は僅かでも、分別のシステムが不備の米国からの輸入品が広く汚染されている可能性があることが実証された。

 また、、「@Bt10は安全性が確認されているBt11と同一のたん白質を生産し、毒素やアレルギー物質を含まないというEPA[米国環境保護庁]の判断があること、A我が国で同様のたん白質を発現する遺伝子組み換え飼料を家畜に給与した試験において、挿入遺伝子及び発現たん白質が家畜及び畜産物に移行した事実は認められていないこと」から、「仮に輸入されていたとしても、家畜及び畜産物の安全性に問題は生じないものと考えられる」としていた。

 これも、その後、このトウモロコシが抗生物質の一族であるアンピシリンに耐性を与える遺伝子を含むことが発覚、怪しくなっている(シンジェンタ社販売の未承認GMトウモロコシ 抗生物質耐性遺伝子を含むの報、05.3.31)。これを受け、EUは、米国からの輸入される飼料―コーン・グルテンとエタノール生産の副産物である絞り滓―にBt10が含まれないことの証明を要求する緊急措置を取り、入港前にすべての検査を行っている。わが国では、なお入港に際しての一部抜き取り調査をしてきたにすぎない。

 米国の安全性評価を鵜呑みにし、また輸入される可能性は低いとタカをくくってきたからだろう。対応の甘さは度し難い。