メキシコ南部山地のGMトウモロコシが消滅 だが改変遺伝子はなおさまよい続ける
05.8.10
米国科学振興協会（AAAS）が運営するオンライン国際科学ニュースサービス・EurekAlert!によると、メキシコ南部山岳地域・オアハカのトウモロコシ群への拡散を4年前以来多くの研究が確認してきた遺伝子組み換え（GM）トウモロコシが、今ではすっかり消え去っていることが判明した（Genetically modified maize not found in southern Mexico,EurekAlert!,8.8;http://www.eurekalert.org/pub_releases/2005-08/osu-gmm080205.php）。
全米科学アカデミーProceedings誌のアーリー・エディションに発表されるこの2年に及ぶ研究を行った研究者たちは、オアハカの125の畑で2003−04年に育った870のトウモロコシから15万3000の種子を集め、トウモロコシ種子中の非常に低レベルの改変遺伝子を検出できる米国の二つの営利企業に送った。すべてのGMトウモロコシに発見される二つの主要改変遺伝子のどちらか、または両方の痕跡を探したが、すべての種子でこれらが存在する証拠は見つからなかった。
研究を主導したオハイオ州立大学のアリソン・スノー進化・生態学・固体生物学教授は、加工食品や動物飼料として毎年大量に輸入される穀粒を通して改変遺伝子が米国から入ってくる可能性は大きいが、「今やGMトウモロコシはオアハカで育っていないことがわかった。作物中の改変遺伝子を望まないメキシコ農民は、これらの招かれざる遺伝子が消滅したと見られる発見で救われよう」と語ったという。
理由は単純、この研究以前にオアハカに存在した改変遺伝子が生き残らなかったからだろう、近代GM品種は、土着植物と交雑し、ある程度の強靭性を獲得できるとしても、オアハカで生き残るのは大変厳しい。彼女は、「土着トウモロコシは主に気候と土壌が過酷な山地で育つ。また、農民が問題に気づき、種子ストックに一層用心するようになったとすれば、GM種子の流れが減退したかもしれない」と言う。
しかし、これで改変遺伝子が完全にシャットアウトされたということではなさそうだ。
メキシコ政府は、いつかはGMトウモロコシの栽培を承認するだろう。GM種子は米国から容易に入ってくる。改変遺伝子がうろつきまわるケースは増えそうに見えるという。