ケニヤ 害虫抵抗性GMトウモロコシ圃場実験を停止 技術者が殺虫剤を撒く
05.9.2
過日、ケニアが3年後の大規模栽培を目指し、ニカメイチュウ（Stemborer）抵抗性遺伝子組み換え（GM）Btトウモロコシの屋外圃場実験を始めたと報じたが（ケニア 3年後にGMトウモロコシ大規模栽培と研究者 環境影響評価は実施せず,05.5.19）、ケニア政府が8月31日、この実験を停止、作物の廃棄を命じたという。ロンドンのSciDevが9月1日付けで報じた（http://www.scidev.net/content/news/eng/kenya-halts-first-field-trials-of-gm-crops.cfm）。
理由は、”技術者”がこの作物に禁止殺虫剤であるフラダン（カルボフラン）を撒いたためという。ケニアの農業大臣であり、国家バイオセーフティー委員会議長でもあるウィルソン・ソンガ氏は、これは実験結果を無価値にする恐れがあると言う。委員会は、8月25日に、ケニヤ植物検疫局に作物の破壊を命じた。ソンガ氏は8月28日、ケニアのNatiion紙に対し、国の科学者は国際組織からの圧力に従順で 、”プロジェクトに突進”してきたと語ったという。科学者は作物が害虫を殺すことを示そうと、功をあせったのだろうか。
このトウモロコシは、ケニア農業研究所と米国に本拠を置くシンジェンタ財団、及びメキシコに本拠を置くトウモロコシ・小麦研究センターが発案したアフリカ害虫抵抗性トウモロコシ（IRMA）・プロジェクトにより、キボコで栽培されていた。IRMAのスタッフが7月、バイオセーフティー委員会に対してトウモロコシにカルボフランが撒かれたことを通知した。
しかし、これによってプロジェクトは中止ということにはならないようだ。IRMAプロジェクトのコーディネーターであるステフェン・ムゴ氏は、事故は不幸なことで、ケニアの研究の進行を大きく遅らせるが、圃場実験は継続すると言う。
この害虫はケニヤで栽培されるトウモロコシの最大12％を破壊、年々の収穫損失は7600万米ドルに上る。アフリカのトウモロコシ農民が害虫を克服するまでは、この戦いをやめるわけにはいかないということだ。IRMAの研究者は、2010年までには農民にこのトウモロコシを開放することを望んでいるという（Revision of plans delays Kenya's GM maize,SciDev,04.12.14;http://www.scidev.net/News/index.cfm?fuseaction=readnews&itemid=1803&language=1）
Stephen Mugo, IRMA's project coordinator, says the incident was unfortunate and a major setback to Kenyan research, but that GM maize field trials would continue.
"This is just like a battle we lost," said Mugo. "But the main war will continue until we help African maize farmers overcome the pest".
Stem borers destroy up to 12 per cent of maize growing in Kenya, amounting to US$76 million in lost harvests per year.
The IRMA project, which began six years ago, aims to develop both conventional and GM maize varieties to resist the pest.
The GM plants, which incorporate genetic material from a bacterium called Bacillus thuringiensis, have already been grown under experimental conditions in IRMA's US$12 million 'biosafety' greenhouse (see $12 million greenhouse signals Kenyan GM commitment).
When the first IRMA maize seeds were sown outside in May, Kenya became the first African country after South Africa to plant GM maize in open fields (see Kenya begins first open field trials of GM maize).
The IRMA researchers had hoped to release the maize to
farmers by 2010 (see
Revision of plans delays Kenya's GM maize).