南アフリカ 非GM・有機表示食品の7割にGMO

農業情報研究所(WAPIC)

06.1.28

 南アフリカ・自由大学の研究者により、遺伝子組み換え(GM)作物の商業栽培を導入しているアフリカで唯一の国・南アフリカの”non-GMO”、”GMO free”、”organic”と表示された国産・輸入食品の7割がGMO成分を含むことが発見された。研究者は市販の58のトウモロコシ・大豆食品を無作為に選び検査した。44の製品からGMOが検出され た。上記の表示があったのは20だが、うち14はGMOを含んでいた。研究者は、この結果は、誤解を招く表示から消費者を保護するための有効な規制の必要性を際立たせるものだと言う。

  C.D. Viljoen, B.K. Dajee and G.M. Botha,Detection of GMO in food products in South Africa: Implications of GMO labelling,African Journal of Biotechnology,16 January 2006; 5(2)
 http://www.academicjournals.org/AJB/PDF/pdf2006/16Jan/Viljoen%20et%20al.pdf

 国際農業バイテク推進団体・ISAAAによれば、南アフリカで栽培されるイエローメイズの24%、ホワイトメイズの10%、大豆の50%、ワタの85%がGM品と推定される (2004年)。遺伝子汚染により非GM食品、有機食品にGMOが混入する危険性は高い。その上、米国にはGM表示義務はなく、有機食品にも5%までのGMO含有が許されているから、輸入品にGMOが混入している可能性も高い。生産者や小売業者が消費者を故意に欺くことはないとしても、知らず知らずの混入は避けがたい。その上、南アフリカには表示をコントロールする規制機関は存在せず、GMOの表示義務もないから、これを回避する努力も育たない。当然の結果と言えよう。

 しかし、この結果は、今でもGM食品の安全性に懐疑的な消費者の反発を強め、南アフリカ、さらにはアフリカ全体におけるGM作物・食品の普及を阻害する恐れがある。厳格な表示制度の欠如は農業バイテク推進派の利益にもならないはずだ。環境団体は、現在審議中のGMO法案にもGMOの表示の義務付けの定めがないと批判している(南アフリカ GMO法案審議を開始 アフリカでのGM農業発展は夢物語,06.1.19)。