インド政府委員会 モンサントが技術独占 法外なBtワタ種子特許料が農民に不当なコスト

農業情報研究所(WAPIC)

06.4.17

 インド政府調査委員会がモンサントのインド子会社・Mahyco(マハラストラハイブリッドシード)-Monsanto Biotech,(MMB)が害虫抵抗性遺伝子組み換え(GM)Btワタに関する技術を独占しており、これは制限的取引慣行に当たるという報告書を発表した。報告書は、独占制限的取引慣行委員会(MRTPA、日本の公正取引委員会に相当する)が、同社の独占的・制限的取引慣行の調査開始を考える可能性を示唆した。これは、農民の利益を守るために特許料が妥当なものかどうかを決めるのに役立つという。

 Monsanto-Mahyco enjoyed monopoly, says probe panel,Hindu Business,4.15
 http://www.indiapress.org/gen/news.php/Business_Line/400x60/0

 この調査は、会社の独占に挑戦し、特許料に250ルピーの上限を課すことを求める全インド農民協会(All-India Kisan Sabha)副会長の訴えを受けて始まった。報道によると、モンサントは否定するものの、調査委員会は、種子の価格と配布条件は会社が徴収する特許料に依存している、1パック(450g)当たり1250ルピーという法外な特許料徴収の理由は会社が享受する独占的地位によるものと見られると指摘した。

 他社は市場に参入できる地位になく、そのために同社が恣意的で、根拠もない特許料を請求している、生産コストは種子を生産する種子会社によって異なるはずだが、MMBが請求する特許料は全国一律だ。Btワタ種子1パック当たり1250ルピーの特許料は法外だから、農民が支払う最終価格で重要な役割を演じているという。

 報告は、種子企業が1パック当たり300ルピーから500ルピーを支出しながら1250ルピーを請求する正当な理由はまったくないと指摘した。「被告会社が請求する特許料は価格操作により農民に不当なコストを課すだけでなく、競争的観点からも不合理だ」と言う。

 同社の法外な特許料については、国立農業経済・政策研究センターの上級科学者も指摘したばかりだ(インド国立研究機関研究者 高価なGM作物が農民を自殺に追い込むと政府を批判,06.4.12)。国際農業バイテク普及団体・ISAAAは、今年1月に発表された2005年の世界のおけるGM作物栽培状況報告で、バイテク作物が途上国の貧困削減で重要な役割を演じるようになったと吹聴した(ISAAA 2005年GM作物栽培状況を発表 イランがGM米栽培開始 全体的には閉塞状況,06.1.13)。少なくとも巨大途上国のインドでは、バイテク作物は逆に貧困を助長、農民を自殺に駆り立てている。