ブラジルで違法GMワタ栽培が横行 またも後追い承認か

農業情報研究所(WAPIC)

06.9.16

  長年にわたる違法栽培の横行で遺伝子組み換え(GM)大豆の後追い承認に追い込まれたブラジルで、今度はGMワタの違法栽培が横行、GM作物栽培承認の責任を負う国家生物安全保障機関・CTNBioが種子破壊とそれから取れる繊維の販売を禁止したが、栽培農民がこれに抵抗している。

 CTNBioは昨年3月、モンサント社の殺虫GMワタ・Bollgardを承認した(ブラジル規制機関、GMワタ栽培を承認,05.3.24)。ところが、農民は、未承認のモンサント社・除草剤耐性・ラウンドアップ・レディーGMワタを栽培している。農業省は、違法GMワタが1万8000ha栽培されているのを発見した。ブラジルの2005−06年のワタ栽培面積は85万7000haだが、政府は違法GMワタの栽培面積はおよそ10万haになると推定している。

 CTNBioの決定に対し、違法栽培農民は、繊維には改変遺伝子は残らず、ブラジルは米国その他から多量の綿を輸入しており、そのすべてはGM製品なのから、破壊は無意味、国内市場での販売を認めよと要求している。ブラジル綿花生産者協会は、販売が許されなければ、総損失額は9000万ブラジル・レアル(4186万米ドル、49億円)に達すると言っているという。

 Brazil Cotton Group: Government Orders Monsanto Seeds Destroyed,Cattle Network,9.15

 ブラジル政府はGM大豆の違法栽培の取り締まりに失敗、生産された大豆の販売許可から最終的には栽培の公式許可に追い込まれた。GMワタについても後追い承認に追い込まれるかもしれない。