薬品生産GM米開発企業・ヴェントリア 加工施設建設でカンサス州と合意

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.2

  薬品生産薬品生産遺伝子組み換え(GM)米を開発したカリフォルニアのバイテク企業・ヴェントリア・バイオサイエンス社が、この米が生産する薬品の加工施設をジャンクションシティに建設することでカンサス州と合意したと発表した。

   Kansas Officials Announce Agreement for Bioprocessing Facility in Junction City:Facility for plant-made pharmaceuticals continues Kansas’ advancement in biotechnology(06.9.29)
  http://www.ventria.com/news/Press%20Release%209-29-06.asp

 この米は、ラクトフェリンとリソチームを生成する合成人間遺伝子で強化されたGM米で、同社が下痢と脱水症を防ぐ医薬品として利用するために収穫・精製しようとしているものだ。昨年12月には、米国農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)の栽培許可も降りた。

 APHIS:http://www.aphis.usda.gov/brs/ph_permits.html

 しかし、カリフォルニアやミズーリなど米生産州でのこのようなGM米の栽培計画は、非GM米汚染を恐れる生産者や食品業界の強い反対・抵抗で断念を余儀なくされてきた(米国一の米バイヤー 薬品生産GM米栽培が許可されればミズーリの米は買わない,05.4.14)。そこで米の栽培がまったくないカンサス州な受け入れられるだろうと交渉してきたということのようだ。

 ヴェントリアの報道発表は、これが人間の健康の強化に大いに貢献すると強調する。最近の臨床研究で、この製品を使った経口補水療法で子供の下痢期間が5.2日から3.7日に30%短縮されることが示された、子供の下痢は世界第二の子供の死因となっており、WHOによると毎年190万の子供の命を奪っているという。

 カスリーン・セベリウス州知事は、「ヴェントリア・バイオサイエンスがカンサスに来て、世界中の子供の健康に寄与しようとしているのを歓迎する」と言う。ジャンクションシティのテリー・ヘルドスタブ市長は、「加工施設はジャンクションシティーにエキサイティングな新たな雇用機会をもたらす。完全操業時にはカンサス経済への4000万ドルの寄与が期待される」と言う。

 また、アドリアン・ポーランスキーカンサス州農務長官は、施設に供給される米を栽培する農民は、現在の一番儲かる作物に比べてもさらに儲かるから、農民がプロジェクトの主要な受益者になると期待されると言う。どうやら歓迎一色のようだ。

 APによると、ポーランスキーは、ヴェントリアは現在の最高の作物が受け取るよりもエーカーあたり150ドルから200ドル多くを農民に支払う計画だと言っている。

 Bio firm plans factory for rice in Kan.,AP via Yahoo! News