ブラジルの大豆畑で除草剤・グリホサート耐性雑草確認
06.10.12
ブラジルのヒオ・グランジ・ド・スウ州の大豆畑に除草剤・グリホサート耐性の雑草・野生ポインセチアが広がっていることが発見された。これは、除草剤耐性を発達させた世界で7番目の雑草という。
Wild poinsettia prevails over glyphosate in
Brazil,SeedQuest,10.11
http://www.seedquest.com/News/releases/2006/october/17177.htm
このグリホサート耐性雑草集団を確認した連邦ヒオ・グランジ・ド・スウ大学の雑草学者・リバス・ヴィダル教授は、現在、50エーカーから70エーカーの土地でグリホサート耐性ポインセチアが確認されたが、さらに広がっている疑いもあると言う。
教授は、グリホサートが雑草に効かない、大量のグリホサートを使う必要があるという農民の不平を聞いて調査を開始した。野生ポインセチアはもともと耐性を発達させやすいから、グリホサート耐性を発達させたのは驚くに値しない、これは除草剤への多耐性を発達させたブラジルで最初の雑草だと言う。
彼は、防除方式の繰り替え、シードバンク(埋土種子)集団の削減、作物輪作などを含む雑草総合防除を勧告する。「グリホサート耐性が確認された野生ポインセチアは、いかなる除草剤も特効薬でないことを示す。特効的技術もない。除草剤は賢く使われねばならない」と言う。
ブラジル・シンジェンタ社の地域開発マネージャーであるネスター・シルヴァは、「グリホサート除草剤とグリホサート技術に持続性を与えるために実施しなけれなならないのは、多様な作物輪作と除草剤使用だ」、この雑草の防除のためには他の除草剤も組み込まねばならない、グリホサートとパラコート、2,4Dなどの非選択性化学物質を組み合わせるべきだ注意する。
しかし、それでは、”環境や人間に優しい”除草剤が雑草との戦いに勝利することなどあり得ないことを自白するようなものではなかろうか。
シンジェンタ社は、米国では、抵抗性発生を遅らせるために、除草剤耐性のGMコーンやGM大豆の同一の畑で2年に2回以上はグリホサートを使わないように勧告していると言うが、ここでもグリホサート耐性の様々な雑草が発見されている(GM過剰依存による雑草の除草剤耐性発達に警告ー栽培慣行変更を,03.9.20)。除草剤耐性GM作物の大量栽培の結果である可能性が高い。
グリホサート耐性ポインセチアが発見されたヒオ・グランジ・ド・スウ州も、ブラジル政府がグリホサート耐性GM大豆の栽培を認める前からその栽培に走ってきたブラジル最大の大豆生産州だ。グリホサート耐性大豆の大々的栽培がこの雑草の発生につながったと見るのが最も自然な見方であろう。
グリホサート耐性GM作物(技術)が除草剤と雑草の戦いを終わらせることもありそうもない。
関連情報
GM大豆はラテンアメリカの”新植民者”ーGM作物導入の影響の包括的新研究,06.3.17