EU 米国からの輸入長粒米すべてのGMO検査を義務化 

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.21

 欧州委員会が19日、米国から輸入されるすべて長粒米の未承認遺伝子組み換え品(GMO)の検査を義務化する決定(EUの法律の一種)案を提案した。この提案は、23日に開かれる食品チェーン常設委員会(加盟国代表で構成される規制機関)で承認されることになる。

 European Commission:GM rice: Commission to propose strict counter testing of US rice imports,06.10.19

 米国からの輸入米・製品中にバイエル社の未承認GM米・LLRICE601が発見されたのち、EUは、承認された試験所による検査でLLRICE601が含まれないと証明された米国長粒米のみがEUへの輸入を許されるとして、適切な証明書を付された長粒米貨物だけが米国から輸入されること確保するために、加盟国に対し国境管理を強化、証明書のない貨物は米国に送還するか、廃棄するように要請した。

 しかし、4週間前、このような証明書があるにもかかわらず、米国長粒米貨物にLLRICE601が発見された。このために、欧州委員会は10月4日、キプリアヌ食品安全・消費者保護担当委員に対し、義務的検査を導入する権限を与えた。しかし、同時に与えられた15日間の猶予期間の間、高度の一貫性と正確性を確保する共通のサンプリングと検査に関する米国との合意を探ってきた。しかし、この合意が得られないまままに15日間が過ぎた。そのために今回の新たな決定案を提案することになったという。

 この決定の下で追加される検査の費用の支払の責任は事業者が負う。

 LLRICE601は、今までにEU25ヵ国中の9ヵ国で発見されている。さらに、フランス当局は最近、米国米の中にLLRICE601とは別の未承認GM米・LLRICE62も発見している。従って、導入される義務的検査の対象には、このGM米も含まれるという。

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