ウガンダ 耐病性GMバナナの圃場試験へ 将来はアフリカ諸国に技術移転

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.16

 ウガンダが今週、遺伝子組み換え(GM)スウィートバナナを圃場試験のためにベルギーから輸入する。”ボゴヤ”の地方名で知られ・主にデザートとして食されるこのGMバナナは、今月から、カワンダ農業研究所(KARI)で、悪名高い青枯病細菌と世界のバナナの遺伝的基盤(キャベンディッシュ種)を絶滅の危機に追い込んでいるブラック・シガトカ菌(バナナとトウモロコシの遺伝資源が消滅しつつある 食料供給への脅威,06.5.16)に対する抵抗性試験を受けることになる。

 試験結果は5-10年のうちに明らかになると予想される。新品種は害虫や病気による収量損失を50%まで減らし、ケニヤ、タンザニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国でも人気の高い国の基礎作物の生産を増加させることが期待されるという

 Uganda: Researchers Put GM Sweet Banana on Trial in Uganda This Month,The East African,07.5.15

 この品種の開発にかかわったウガンダ人科学者のGeoffrey Arinaitwe氏は、もし圃場試験が成功すれば、ウガンダはアフリカにおけるこの技術の提供者になるだろうと言う。同氏によると、カワンダでの圃場試験ののち、最良のGM系統を選抜し、増殖させることになる。その後、この技術は”マトケ”の地方名で知られる高地バナナやプランテイン種に移転される。

 バナナ青枯病は世界中のバナナ生産に影響を与えるナンバーワン真菌病で、罹病した樹の少なくとも90%の果実が失われる。感染した樹は人間や動物にも有害という。この病気は、雌樹から雄樹に花粉を運ぶハチを介しての授粉を通して広がるのが最も一般的だが、Arinaitwe氏は、GMバナナは稔性花粉を生産しないからその遺伝子が他の植物に移転することはできず、他の植物や環境の遺伝子汚染のリスクはないと言う。

 ウガンダの家庭の収入の24.5%がバナナからの収入で、農民の70%が、基礎食料として、また国内消費向けアルコール製造や輸出向けスピリッツ製造のために、バナナを栽培している。KARIの植物バイテク学者・Andrew Kiggundu氏によると、このほか、モザイク病抵抗性キャッサバ、ビタミンA強化甘藷、ワタのような戦略作物の試験が、ナムロンゲ試験場と国家農業研究機構(NAROで年末までに予定されている。