GM・非GM品無分別で米国コーングルテン輸出が激減、エタノール産業の将来に警鐘

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.23

  アメリカ・コーン生産者財団(ACGF)の調査で、米国の大部分の穀物エレベーターが遺伝子組み換え(GM)コーンと非GMコーンの分別をしていないことが判明した。ACGAは、これでは、米国バイオエタノール部門の将来の健全性を確保するために重要なコーングルテン輸出市場が失われると警告している。

 Survey finds most U.S. elevators don't segregate GMO, non-GMO corn,WorldGrain.com,5.22

 米国穀物の大部分を生産する18州の1057のエレベーターについての2007年4月の調査によると、GM品種を非GM品種と分別を要求しているエレベーターは26%にすぎないことがわかった。これでは、バイオエタノールの原料となるコーンにもGM品種と非GM品種が混じり、従って副産物の飼料のGM汚染が起きるのも避けられない。

 2005年には、未承認Bt10トウモロコシが発見され、事実上の輸入禁止につながった。今年もロッテルダム港で、米国のコーングルテン飼料とペレットの船荷に未承認Btコーンが発見され、押収騒ぎが起きている。

 EU、Bt10トウモロコシ問題で米国からのコーン・グルテン等の事実上の輸入停止を決定,05.4.17
 Netherlands refuses GM corn shipment from US,AFP via Yahoo! News,07.5.9

 2006年9月に始まった現在のコーン販売年度に関する米農務省(USDA)のデータによると、9月-3月のEU27ヵ国へのコーングルテン輸出は、前年度同期に比べて38.1%減っている。1999-2000販売年度、EUは、米国のコーングルテン輸出総量・580万トンのうち500万トンを輸入した。ところが、2005-06販売年度には総輸出量はたった3.6トンに激減、うちEU27ヵ国が輸入したのは2655トンに過ぎなかった。

 ACGFとアメリカ・コーン生産者協会(ACGA)は、米国のコーングルテン主要輸出市場が未承認バイテク品種のために失われつつあると、米国コーン生産者、および”死活的に重要な米国エタノール産業”に警告している。今や、「何を購入するかの決定権は常に顧客にある」というマーケッティングの現実を学び直すべきときだと言う。