米農務省 GM米汚染調査を完了 原因は特定できず バイエル社の責任は不問に

農業情報研究所(WAPIC)

07.10.6

  米国農務省(USDA)が10月5日、昨年起きたバイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)米による非GM米汚染に関する調査が完了したと発表した。

 USDA CONCLUDES GENETICALLY ENGINEERED RICE INVESTIGATION,07.10.5

 この汚染事件は、長粒種米・Cheniereの未承認GM米・LLRICE601(06年11月に後追い承認)よる汚染と、別の長粒種未米・Clearfield 131 (CL131).の未承認GM米・LLRICE604による汚染にかかわる。

 発表によると、USDAは、2002年から2006年の間に収穫された57品種から採った396の検体を検査した。その結果、LLRICE601の存在は Cheniereに、LLRICE604 の存在はCL131に限定されており、他のいかなる中・短粒種米からもGM物質は検出されなかった。

 汚染が起きたメカニズムについては、どちらについても決定できなかった。LLRICE601 and Cheniere は、1999年から2001年まで、バイエル社との契約で作業するルイジアナ州立大学運営の米研究試験場で同時に栽培されていた。LLRICE604 and CL131も同じ試験場で栽培されたが、同時に栽培されたことはなかった。従って、LLRICE604による CL131の花粉を通しての交雑汚染はありそうにないという。

 このように、決定的な情報や証拠がないために、バイエル社の責任は不問に付すということだ。では、米作農家が蒙った損害は誰が補償するのだろうか。 もちろん、”神”が補償してくれるはずはない。しかし、この問題については、同日行われた電話記者会見でもまったく取り上げられていない。

 Transcript of Technical Briefing on Rice Investigation with Cindy Smith, Administrator, Animal Plant Health Inspection Service Washington D.C. - October 5, 2007

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