タイ閣議 GM作物屋外実験禁止早期解除の農相要求を退ける 安全確保こそ急げ

農業情報研究所(WAPIC)

07.12.27

  タイ閣議が12月25日、遺伝子組み換え(GM)作物の屋外試験禁止の解除の決定を次期新内閣に委ねるとして、ティーラ・スータブット農業・協同組合相の早期解除の求めを退けた。閣議は農業・協同組合省に対し、次期内閣のGM作物屋外試験承認を求める前にGM植物屋外栽培の影響に関する一層の研究を行い、また憲法に基づき公聴会を組織するするように指示した。憲法は、社会・環境影響のあるプロジェクトの実施の前に公聴会を開かねばならないと定めている。政府報道官は、「省は、実験圃場から近隣地域へのGM作物拡散を防止し、抑制する規制も立案せねばならない」と語った。

 Cabinet refuses to lift ban on open-field crop trials,Bangkok Post,12.26
 http://www.bangkokpost.com/261207_News/26Dec2007_news16.php

 タイ政府は、GMワタの拡散事件を受け、2001年以来、GM作物の屋外試験と商業栽培を禁止してきた。カセサート大学学長を経て現職に就いたティーラ・スータブット博士は、GM技術の開発を進める近隣諸国がタイ農業の競争力を脅かす恐れがあると、屋外圃場実験再開を急いできた(タイGM作物屋外栽培試験、6年ぶりに復活へ,07.5.7)。しかし、閣議は、それよりも、屋外試験の安全指針・GM作物の影響を受ける人々への補償・GM製品輸出入の制限措置を含むバイオセーフティー法の執行を急げと指示したということだ。