タイGM作物屋外栽培試験、6年ぶりに復活へ

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.7

  タイが遺伝子組み換え(GM)作物の屋外圃場試験実施計画を復活させた。農業・協同組合相・ティーラ・スータブット博士が3日、農業局に対し、環境と人間の健康に影響がないように保証するためには屋外圃場試験がどのようになされるべきかに関するガイドラインを作成するように命じたと語ったという。4日付のバンコク・ポスト紙が伝えた。

 Plan for GM crop field trials revived,The Bangkok Post,5.4

  この報道によると、農業局は今月末までに試験のフレームワークを完成、来月には閣議の承認を求めることになりそうだ。ティーラ博士によると、タイの現在までのGM作物試験は、大量生産が認められるまでに必要な実験室、温室、屋外圃場での三つの段階の試験のうち、温室試験の段階にまでしか進んでいない。

 タイにおけるGM作物の圃場試験と商業栽培は、試験中のGMワタの拡散で環境と人間の健康への悪影響への懸念が高まった2001年4月の閣議決定で禁止された。以来、農業・協同組合省は、屋外圃場実験禁止の解除を再三試みてきたが、環境・農民団体の反対で実現しなかった。2004年には試験場内 のGMパパイヤが場外に漏出、非GMパパイアを汚染している実態も明るみに出て、反対はますます強まってきた。

 しかし、ティーラ博士は今回、いくつかの近隣諸国がこの技術の研究を進め、タイ農業の競争力を脅かす恐れがある研究成果をあげていることから、屋外圃場実験を急ぐことを決めた。もし閣議が承認すれば、試験栽培される可能性がある作物はパパイヤ、トマト、チリ、パイナップルという。

 ただ筆者は、近隣諸国のGM技術開発がタイのこれら作物の競争力を脅かすほどに進んでいるという証拠を未だ持ち合わせていない。

 関連情報
 タイ:実験施設から60kmの農場でGMパパイヤ発見、種子販売の疑いが濃厚,04.7.31
 
タイ農業・協同組合省、輸出拡大めざしてGM作物解禁に躍起,03.12.16