米国控訴裁判所 除草剤耐性GMアルファルファの栽培禁止を支持

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.5

 米国の非政府組織・食品安全センターの報道発表によると、9月2日に手渡された決定で、米国第9巡回区控訴裁判所が除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)ラウンドアップ・レディーアルファルファの栽培の、完全な環境影響評価書が出るまでの禁止を確認した。

 これは、米国農務省(USDA)がラウンドアップ・レディーアルファルファによる通常のアルファルファや有機アルファルファの汚染の問題に十分に取り組んでいないとした07年5月の連邦地裁の判決(米連邦地裁 除草剤耐性GMアルファルファ商業栽培を禁止,07.5.7)を改めて確認するものである。

 第9巡回区控訴裁判所は、GMアルファルファの栽培が、有機及び通常品種に対する取り返すことができないかもしれない損害、環境に対する損害、そして農業者に対する経済的損害をもたらす可能性があると裁定したということである。

 FEDERAL COURT UPHOLDS BAN ON GENETICALLY-ENGINEERED ALFALFA, The Center for Food Safety,08.9.2
 http://www.centerforfoodsafety.org/AlfalfaPR9_2_08.cfm

 この報道発表によると、食品安全センターほか8つの農業団体、環境団体などを原告とするこの訴訟で訴えられたのはUSDAだが、モンサント社やForage Genetics社も被告人擁護者としてこの訴訟に参加した。

 メアリー・M・シュレーダー判事は、モンサントとForage Geneticsは連邦地裁がその金銭的損害を無視したと主張したが、連邦地裁はこれらの経済的損害も考慮しており、非GMアルファルファを望む生産者と消費者に対する損害がモンサント、Forage Genetics、GMアルファルファ栽培者の経済的損害に比べて大きすぎると考えただけだと判決した。

 食品安全センターのアンドリュー・キンブレル常務理事によると、この判決は米国におけるバイテク作物規制の転換点をなす。シュレーダー判事の決定は、USDAが完全な環境影響評価書なしでGMアルファルファを承認することで米国環境法を侵犯したことを確認する。また、USDAが、GMアルファルファの商業栽培に続いて起こり得るラウンドアップ抵抗性スーパー雑草の問題への取り組みを怠ったことも確認するものだと言う。