カナダとEUのGMOをめぐるWTO紛争処理が最終決着 定期的対話で相互の利益を確保

09.7.16

 7月15日、カナダとEUが、バイテク製品の適用に関して2003年5月にカナダが米国、アルゼンチンと共にEUを訴えたWTO紛争処理(米国、GMO規制でEUをWTO提訴、欧州委は断固反論,03.5.14)の最終合意文書に調印した。農業バイテクに関して相互の利益を確保するために協議する定期的対話―双方の当局者の隔年会合―を設けることで最終的に合意した。この対話は、無用な貿易障害の回避に貢献する情報交換を目指すもので、EUが現在のバイテク製品規制制度を修正することはなく、これがWTOへの訴えの対象となることはないという。

 EU and Canada settle WTO case on Genetically Modified Organisms,European Commission,09.7.15
 http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/09/1142&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=ja

  Canada and European Communities End WTO Dispute on Genetically Modified Organisms,Foreign Affairs and International Trade Canada,09.7.15
 http://w01.international.gc.ca/MinPub/Publication.aspx?lang=eng&publication_id=387393&docnum=195

 アシュトンEU貿易担当委員は、米国とアルゼンチンも同様な”建設的アプローチ”に従うことを希望すると言う。

 WTO紛争処理としては何ともしまらない決着だが、双方が飲むことのできる決着にはこのようなアプローチしかないのかもしれない。牛肉問題で米国が日本を訴えたら、やっぱりこんな決着しかないかもしれない。