フランス ”GMOを含まない”の食品表示を具体化へ 組み換えDNAが最大0.1%が基準

農業情報研究所(WAPIC)

09.11.5

 2008年6月の遺伝子組み換え体(GMO=OGM)法で設置されたフランスのバイオテクノロジー高等評議会(HCB)が11月3日、食品表示に使われる”GMOを含まない”(sans OGM)の定義を提唱した。”GMOを含まない”の表示は、組み換えDNAを最大限0.1%までしか含まないものに限るというのが基本である。

 http://ogm.gouv.fr/Recommandation_CEES_sansOGM.pdf

 EUにおいても、フランスにおいても、GMOを0.9%以上含む食品は”GMOを含む”と表示せねばならないという義務的表示制度があるだけだ。ところが、前記2008年法は、”GMOを含む、または含まない”の表示を使う自由を認めた。そこで、”GMOを含まない”の正確な定義が必要になった。

 HCBの提案は、これに関する政府の諮問に答えるものだ。これを受け、政府は、GMOを含まない製品の表示方法を定める政令の準備にとりかかる。

 含み得る組み換えDNAの上限は、一方では消費者が受け入れられるものではなければならないが、他方では農場から小売までの”非GM食品チェーン”の存続を不可能にするものであってはならない。この上限が低すぎれば、農場や流通過程で起きるかもしれないGM汚染をそれ以下のレベルにとどめることは、技術的、あるいは経済的に難しくなる。

 HCBは、植物産品について、0.1%の上限を勧奨した。地球上至るところにGMOがあり、混入のリスクがある。消費者はゼロを望むかもしれないが、これが技術的に実現可能な最大限という。

 牛乳、肉、チーズ、卵などの動物産品については、組み換えDNA0.1%未満の飼料で育てられた動物からの産品の表示を”GMO飼料なしで飼育”にすることを勧告する。

 ただし、現在存在しない”GMOなし”飼料部門が育つまでの5年間、0.1%から0.9%までの間のGMOを含む植物で育てられた動物についての表示方法を定めるとする。0.9%以上のGMOを含む飼料で育てられた動物からの産品については、現行EU規則に従って表示義務を課さない。

 養蜂産品については、養蜂場とGM作物の間の最小距離を基準とする。

 HCBによると、これは現実的で、存続可能で、消費者にも受け入れ可能ということだ。しかし、フランス国内のGM作物栽培がほとんど普及していない現在はともかく、その導入が大々的に進めば、経済的には不可能なほどにGM圃場と非GM圃場の距離を離さねばならないかもしれない。あるいは、広大なGMフリーゾーンの設置なしでは、”非GM食品チェーン”は存立不能となるかもしれない。

 GM農業と非GM農業の”共存”(EU:GM・慣行・有機作物共存に挑戦,03.3.6)は、ますます難題となる。