農業情報研究所農業バイテクニュース:2011年6月22日

中国にGM米違法栽培が広がる 政府調査が確認の報でGM米論争に火がつく

  AFPの報道によると、中国の公職者が、中国ではこの何年来、遺伝子組み換え(GM)米の違法栽培が広がってきたことを認めたそうである。

 中国では2009年には2種のGM米の屋外栽培実験が承認されたが(⇒農業情報研究所:中国 GM稲・トウモロコシの小規模屋外試験栽培を承認,09.12.18)、商業栽培は未承認だ。ところが今年4月、環境部の一公職者が、4つの政府部局による共同調査で、「管理が弱いために、いくつかの省に違法GM種子が存在することが発見された」と、週刊誌・Nanfang Zhoumoに語った。農業部は、本当のところはどうなのかというAFPの問いには答えなかった。

 しかし、EUの食品・飼料迅速警報システムによると、2006年から今年5月までの間に、EU諸国ではGM米を含む中国食品が115回発見されている。2005年以来、グリーンピースも、GM米が市場に出回っていると指摘してきた。公職者が違法栽培を認めたことで、GM米の是非をめぐる論争に火がついた。

 尊敬を集める著名農学者は、副首相が議長を務める5月の会議で、「中国人の3分の2が毎日米を食べる。これは国民をモルモットのように扱うものだ。中国は米を十分生産しており、少しは輸出もしているのだから、GM米は必要ない」と語ったという。GM米推奨者は、干ばつ耐性米は高収量を可能にし、殺虫性GM米は殺虫剤の使用を大きく減らすと主張する。

 ただ、環境活動家や一部科学者は、GM米使用の生物多様性や人間の健康への長期的影響は知られていないと警告する。グリーンピースの活動家は、GM種子は普通の種子の2、3倍も高く、収量は違わないから、農家の利益にもならないだろうと言っている。

 GM rice spreads, prompts debate in China,AFP,6.14