中国 GM稲・トウモロコシの小規模屋外試験栽培を承認

農業情報研究所(WAPIC)

09.12.18

  中国が害虫抵抗性の遺伝子組み換え(GM)稲2種とGMトウモロコシ1種に安全認証を与えたようだ。ただし、一部メディアの報道に見られたように、大規模商業栽培を許可したものではない。農業部がこの8月、これらGM作物の"小規模屋外試験栽培”を承認したということだ。

 10月に農業部生物安全管理局がウエブサイトに発表したドキュメントは、これら作物の安全認証書は2009年8月から2014年8月まで有効と述べている。この間に湖北省で米、山東省でトウモロコシが栽培されることになる。

 華中農業大学のスポークスマンは、実験では二つのGM稲は安全で、殺虫剤の使用を減らせるから環境にも優しいことが示唆されたが、商業的販売用に栽培できるようになるまでには、さらなる承認が必要になると語ったそうである。

 China makes 'landmark' GM food crop approval,SciDev,12.17
 http://www.scidev.net/en/news/china-makes-landmark-gm-food-crop-approval.html

 大規模商業栽培となれば、最大の問題は害虫のBt毒に対する抵抗性の発達をどう防ぐかということだ。近くに一定面積の非GM稲を植えた害虫の”避難地”を設けるといった米国流の害虫抵抗性発達抑制策は、多数の零細農家が交錯する中国の農村では取りにくいだろう。害虫の抵抗性発達が防げなければ、GM稲導入は却って災厄となってしまう恐れがある。

 その上に周辺の稲の遺伝子汚染が起きると、多様な稲遺伝資源が失われ、それこそ食料安全保障に対する重大な脅威となる。

 その上、マスコミも、反GM活動家も何故か黙りこくっているが、フランスの最近の研究は、GM作物がラットの腎臓・肝臓の働きに明確な悪影響を与えたという、GM作物の健康影響に関する画期的な発見をしている(モンサントの主要GMトウモロコシ3品種 腎臓・肝臓の機能に明確な悪影響 フランスの研究,09.12.2)。この面でも、なお慎重な検討が必要になるかもしれない。

 大規模商業栽培が認められるまでには、なお曲折があるかもしれない。

 関連情報
 中国がGMライス承認?一体何のために?それとも開発研究者の単なる期待?,09.11.28