農業情報研究所農業バイテクニュース:2013年11月29日

フランス誌 ラウンドアップ除草剤・GM作物とラットの腫瘍等の関連を示した昨年掲載の研究を取り下げ

 フランスのピアレビュー誌”Food and Chemical Toxicology”が、昨年9月19日付で掲載し、世界中で大きな反響を呼び起こしたカーン大学(ノルマンジー)のGilles-Eric Séralini等による「ラウンドアップ除草剤およびラウンドアップ耐性GMトウモロコシの長期毒性」なる研究を取り下げた。この研究は、この除草剤及びGM作物と実験に使われたラットの腫瘍発生・多臓器障害・早死との関連性を結論しているが、その証拠が不十分というのが取り下げの理由である。

 この研究が発表されるやいなや、世界中の科学者からこの研究はそういう結論を支持する適切なデータを提供していないとう抗議が殺到、欧州食品安全機関(EFSA)やドイツ連邦リスク評価研究所もこういう科学者たちの主張を認めざるを得なかった。私自身も、この研究がこれら薬剤と作物の長期毒性を明証したとは思えず、その恐ろしさを強調する一部反GM活動家の動きに同調するのを控えてきた。それは、反GM活動が拠って立つべき堅固な科学的基盤を危うくしかねないと考えたのである。

 Study linking GM maize to rat tumours is retracted,Nature News,13.11.28
 http://www.nature.com/news/study-linking-gm-maize-to-rat-tumours-is-retracted-1.14268

 この研究の著者はなお取り下げを拒否しているというが、彼らがなすべきことは、その結論が確かなものだと誰をも納得させる新たなデータの提供であろう。なぜそれをしようとしないのだろうか。 

 関連情報
 欧州食品安全機関 GMトウモロコシ・除草剤に発がんリスクというフランスの研究を一蹴,12.10.8