農業情報研究所農業バイテクニュース:2014年9月19日

米農務省 2,4-D耐性GMトウモロコシ・大豆を承認 農業・環境・健康への「記念碑的脅威」と批判グループ

 米国農務省(USDA)が除草剤・2,4-Dとグリホサートの両方に抵抗性を持つダウ・アグロサイエンス社の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・大豆を最終的に承認した。グリホサート抵抗性GM作物が畑を埋めつくすことで広がった除草剤(グリホサート)抵抗性スーパー雑草に手をやいている農家にとって、首を長くして待っていた朗報だろう。ただし、農家がこれを使うには、なお環境保護局(EPA)による健康・環境影響評価をクリアする必要がある。それがいつになるのか、まだ不透明だ。

 2,4-Dは小麦、牧草、家の芝など、多くの作物に対して世界中で広く使われている。米国でも、アトラジン、グリホサートに次ぐ第三の除草剤だ。しかし、その健康・環境影響評価は簡単にクリアできると楽観はできない。というのも、これらGM作物が利用可能となれば、農家は心置きなく2,4-Dを使えるようになり、その使用が飛大きく増える恐れがあるからだ。USDA自身、この承認でく2,4-D使用量は200%から600%増えると推定している。USDAによれば、それでも公衆や農業労働者は安全ということだ。

 しかし、批判的グループは、この除草剤の毒性と漂流による隣接農地の作物、特に野菜・果物の損害の可能性を恐れている。とりわけ、トウモロコシと大豆は米国最大の作物、使用量は飛躍的に増加する恐れがある。

 例えば米国のNPO・食品安全センター(CFS)は、「2,4-D抵抗性作物はわが国農業・環境・人の健康への記念碑的脅威をなす。この承認で何百万ポンドの有毒除草剤がわが国土に落とされることになる。CFSはこれら危険な作物の商品化をストップさせるために、利用できるあらゆる法的手段を追求する。ダウ・ケミカルが生産する2,4-D (2,4-dichlorophenoxyacetic acid)は、ベトナムで使われた枯葉剤の成分であった。2,4-Dとこれに類する他の除草剤は免疫システム癌、パーキンソン病、内分泌攪乱、生殖問題と単独で結びついている」と、この承認を批判している。

 USDA Approves New GE Corn and Soy, Triggering Onslaught of Millions of Pounds more Pesticides,CFS,2014.9.17
  http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/3467/usda-approves-new-ge-corn-and-soy-triggering-onslaught-of-millions-of-pounds-more-pesticides

  アメリカさん、戦争で死んだベトナム人の怨霊に憑りつかれたか。それとも、枯葉剤で苦しめたベトナムの人々への贖罪のつもりなのだろうか。

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 USDA approves new modified corn, soybean seeds ,AP,14.9.17

 USDA grants approval to Dow's Enlist GMO corn and soybeans,Reuters,14.9.17

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