農業情報研究所農業バイテクニュース:2015年10月2日

 

イタリアがGM作物禁止へ 栽培可否をEU諸国の裁量に委ねる新規則の下、禁止は14ヵ国に

 

 イタリアが10月1日、遺伝子組み換え(GM)作物を栽培するかどうかEU諸国が独自に決定することを許すEUの新法制の下、GM作物栽培を禁止する計画をEUに提出した。

 

   Italy tells EU it will opt out of growing GMO crops: statement,Reuters,15.10.1

  

 EUは今年3月、EU諸国と国内地域が環境・農業政策の目的に照らし、あるいは土地利用計画、社会・経済的影響、GM作物と非GM作物の共存政策、公共政策などの理由から、EUレベルで承認されたGM作物の栽培を禁止または制限することを許すEU指令(Directive (EU) 2015/412)を採択した。今週(10月3日)は、この禁止または制限計画の最初の提出期限となる。この期限を間近に控え、イタリアの禁止計画提出となったわけである。

 

  ガーディアン紙によると、今までにEU28ヵ国中の14ヵ国と3地域がGM作物栽培禁止する計画をEUに伝えている。これらの国・地域にはイタリアに加え、ドイツ、フランス、オーストリア、ブルガリア、クロアチア、キプロス、デンマーク、ハンガリー、ギリシャ、ラトビア、リトアニア、オランダ、ポーランド、スロベニア、イギリスのスコットランド、北アイルランド、ベルギーのワロニア地方が含まれるウェールズも最近禁止グループに加わり、ブリテン島でGM作物を栽培するのはイングランドだけとなった。

 

 EU消息筋によると、農業バイテク企業はドイツのような大国のGM作物禁止には強く反対するだろうが、これらの国はEU規制当局(欧州食品安全機関=EFSA)による環境アセスメントと無関係な公益を根拠に国家的禁止を選ぶことができる。

 

 Half of Europe opts out of new GM crop scheme,The Guardian,15.10.1

 

 小国・地域についても、例えば北アイルランドはこの地方の農場サイズは小さく、GM作物と非GM作物の分離(共存)は困難だと禁止を正当化している。

  

 Northern Ireland bans genetically modified crops,Irish Times,15.9.22

 

 関連情報

  

 欧州委員会、GM食品規則修正を提案 EUレベルで承認のGMOも各国が制限・禁止できる,15.4.24