米国ワシントン州の農地に未承認GM小麦 販売された証拠はないが韓国政府は米国小麦輸入を一時停止

遺伝子組み換え小麦・米国・韓国<農業情報研究所農業バイテクニュース: 2016年7月30日

 米国農務省動植物検疫局(USDA‐APHIS)が7月29日、ワシントン州の一農民が自分の農地に22の遺伝子操作(GE)小麦が自生しているのを発見したと発表した。発表によれば、発見されたのはモンサント社が開発したMON71700と呼ばれる除草剤・グリホサート耐性小麦で、CP4-EPSPSなるたんぱく質を含む。この小麦が販売された証拠はない。

 食品医薬局(FDA)は以前、このたんぱく質を含む作物の安全性評価を行っており、今回の件については、発見された小麦の量が少ないこと、またMON71700およびCP4-EPSPSに関する利用可能な情報からして、もしこれが食品流通に入ったとしても、安全上の心配はないと言っている。

 APHISは農民と協力、GM小麦が販売ルートに乗らないようにする措置を取った。用心のために、この農民が収獲したすべての小麦を検査しており、もし陽性と出たら、販売は禁止する。貿易パートナーにも、タイムリーで透明な情報を提供するという。

 Detection of GE Wheat Volunteer Plants in Washington State,USDA-APHIS,16.7.29

 関連ニュース:USDA confirms unapproved GMO wheat found in Washington state,Reuters,16.7.30

 この発表を受け、韓国政府は米国からの小麦輸入を一時停止する措置を取った。韓国は今年、7月25日までに61万9000トンの米国小麦を輸入しており、その半分以上がワシントン州産だ。APHISに対し、未承認小麦と検査方法について詳細な情報を提供するように要請したという。

 S. Korea halts some U.S. GM wheat imports on safety concerns,Yonhap,16.7.29

  日本政府もこの情報を知らないはずはない。が、今までのところ何の対応措置も発表されていない。このまま黙殺するのであれば問題だ。なぜ、この場所に、このGM小麦が自生していたのか。それが解らないと、他の場所でも自生がないとは言えないはずだ。そうであれば、他の場所で自生しているGM小麦が販売ルートに乗っていないとも限らない。日本政府も、米国産小麦の輸入を停止、USDAには徹底的調査を要求すべきである。

 2013年にもオレゴン州で同様な事件が起きているが、オレゴン州の一農場の一圃場に何故GM小麦があったのか、USDAの調査は未だこの問題に答えていない。

 GM小麦ミステリー モンサント社 オレゴン農場のGM小麦はバイテク嫌いの誰かがわざと播いた,13.6.24

 米農務省 GM小麦事件は一農場の一圃場の孤立した一事件 しかし何故そこにGM小麦が,13.6.17