タイ、豚肉輸出拡大を目指し、養豚産業の安全性確保へ

農業情報研究所(WAPIC)

03.1121

 バンコク・ポスト紙によると(*)、20日、2004年食品安全年の政府事業として、3年間で国内養豚産業を標準化するための20億バーツ(約55億円)の計画が承認された。この計画は農業省が提案したもので、農場から食卓まで、衛生的で化学物質を使わない豚肉生産過程を確保する。

 計画の一環として、すべての養豚場が来年末までに標準化される。養豚場所有者は畜産開発局に登録し、新たな管理方法を採用しなければならない。養豚場の監督責任を負う獣医が指名される。と畜場と豚配送業者も2005年までに登録を義務付け、衛生的生産・取り扱いを確保する。来るべき2年の間に豚肉品質検査所を設立、汚染が発見された場合の回収を可能にする。

 今年初めから既に実施されているその他の措置としては、動物飼料に混ぜられる薬剤の輸入の厳格なチェック、化学物質と抗生剤、特に人間に有害であるが豚肉を赤くし、脂肪を減らすために使われてきたベータ・アゴニスト(通常、ぜんそくなどの処方薬として用いられる物質で、タイ政府は92年12月から飼料添加とこれを含む飼料の輸入を禁止しているが、違反が多い。香港政府はタイからの輸出品に残留しているのを発見、心臓病患者に悪影響があると禁止したこともある)の使用の監督がある。

 ソムサック農相は、計画は国内消費向けの化学物質無しの豚肉の生産を確保するだけでなく、冷蔵肉やベーコン・ソーセージのような調整品の輸出を増やすことにつながると言う。タイは昨年、香港に1万4千トン、15億バーツ(約38億円)の冷蔵豚肉を輸出し、調整肉も、主として日本向けに2億バーツ(5.5億円)輸出している。製造業者は輸出競争力強化のために、5年間の法人税免除を申請できる。

 日本との自由貿易協定(FTA)交渉では、砂糖、タピオカ粉、鶏肉、米がタイ側の重要関心品目になってきたが、豚肉もこれに加わるかもしれない。

 *B2bn plans to upgrade pork industry,Bangkok Post,03.11.21

農業情報研究所(WAPIC)

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