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メキシコ:6年ぶりの高失業率、中国企業には低いNAFTAの壁

農業情報研究所(WAPIC)

03.9.22

 「ニューヨーク・タイムズ」紙の20付の記事(Mexico's Jobless Rate a 6-Year High)によると、メキシコの8月の失業率が予想以上の上昇、製造業の低迷のために6年ぶりの高さに達した。7月にはこの5年間で最高の3.52%であったものが、8月にはさらに上昇して3.96%になった。これは4.09%であった1997年7月以来の最高の数字である。

 米国からの需要の衰えによる製造業の後退によって経済成長率が引き下げられてきた。北米自由貿易協定(NAFTA)により米国への輸出に向けられる低価格製品を製造する基地となった「マキラドーラ」は、米国バイヤーがより安価な中国製品を求めるようになり、深刻な打撃を受けている。この2年間で340のマキラドーラ企業が閉鎖され、25万人の職が失われた。マキラドーラ産業は底に達したという。

 中国企業は、自由貿易協定(FTA)が作り出す差別の壁など、簡単に乗り越えてしまいそうだ。ガット/WTOの今までの交渉で、特に工業製品の関税障壁は一般的に大きく引き下げられているから、FTAによる関税撤廃という特恵のメリットも小さなものになっている。こんな差別は、ちょっとした通貨変動でも簡単に乗り越えられるだろう。FTA締結で域外国より有利な立場を確保するなどというのは幻想になりつつある。